梅雨と梅の実、ときどき梅酒。

 

梅雨って、なぜ「梅の雨」。

シトシトと雨がそぼ降る梅雨の季節となりました。この季節に雨が降ることにより、梅の実が大きく膨らむ、梅にとってはまさに恵みの雨といえます。

それでは、この梅雨という単語に、なぜ「梅」が使われているがご存知ですか?

その語源には諸説あります。
『梅の実が熟す頃に降る雨という意味で「梅雨(ばいう)」と呼んだ説』『黴(カビ)が生えやすい時期の雨という意味で、「黴雨(ばいう)」と呼んでいたものが転じて、同じ読みで季節に合った「梅」の字を使った説』などが有力な語源の由来です。

この中国で使われていた言葉が江戸時代に日本へと伝播。日本ではそれまで、「五月雨(さみだれ)」という言葉が使われていました。

ちなみに、「五月雨(さみだれ)」の
“さ”は陰暦の5月(現6月)、
“みだれ”は「水垂れ」を意味しています。

 

和歌山県は、梅王国。

梅雨の時期は、梅酒の原料となる青梅の収穫がピークを迎える時期です。

なかでも、和歌山県は、言わずと知れた梅の一大生産地。ここで収穫された梅は「紀州梅」と呼ばれ、その生産量は全国シェア約65%の第1位を誇ります。生産量第2位の群馬県が約5%、第3位の奈良県が約2%と、和歌山県の桁外れな生産量には驚かされるばかりです。

 

全国に名を馳せる紀州梅の代表格といわれる「南高梅」と「古城梅(ごじろうめ)」。紀州ブランドを品質で支える双璧といっても過言ではありません。

収穫が比較的安定している南高梅は、一般的に梅干しづくりに使われることが多い品種。
一方、古城梅は実が硬く引き締まっているため、梅酒づくりに適した品種とされています。
古城梅の収穫量は、南高梅の約6分の1。“青いダイヤ”とも呼ばれる希少種です。
古城梅の硬い実は、漬け込んだときに実が崩れにくく、梅のエキスがたっぷりと抽出されるという特徴があり、これが梅酒に向いているといわれる由縁です。
また甘さ控えめで、ほどよい酸味があり、コクの深い梅酒になるので、根強いファンが多いといわれています。

梅雨の雲間から時折のぞく陽光を見上げながら、梅酒で涼しいひとときを。
間近に迫る夏の暑さまでの、ちょっとした贅沢なのかもしれません。