ブリの“家しゃぶ”で広がる、冬の贅沢なひととき。

家庭で楽しむブリしゃぶと、菊正宗の冬の酒。

ブリしゃぶは専門店で食べる“冬の贅沢料理”と思われがちです。しかし、スーパーなどで売っているブリの冊(さく)を買って来れば、家庭でも驚くほど手軽に楽しめる料理ともいえます。食べる前にブリを軽く冷凍しておくのが、美味しく食べるためのちょっとしたコツ。半分ほど凍った“半冷凍”状態なら包丁が入りやすく、薄くきれいに切れます。こうすると身が崩れにくく、口溶けがなめらかになるのも嬉しいところです。

さっと湯に潜らせるだけで、口の中でとろりとほどける上品な味わいに仕上がります。最近は、ブリしゃぶ用に薄く切った刺身も売られており、より手軽にブリしゃぶが楽しめそうです。

刺身売り場に並ぶブリをよく見ると、微妙に色が異なることに気づきます。やや青みがかった白っぽい透明感のある色をしているのは、“背身(せみ)”。脂が少なく筋肉質で、ほど良く締まった歯応えが特徴です。その分、さっぱりとした上品な旨みを堪能できます。ポン酢の酸味や柑橘の香りと相性が良く、いくらでも食べ進められる軽さがあります。一方、オレンジがかった赤っぽいのは“腹身(はらみ)”で、とろけるようにやわらかく、出汁に潜らせると脂の甘みとコクが際立ち、濃厚な旨さがゆっくりと舌に広がります。

濃厚な脂をしっかり受け止めてくれる、しょうが醤油やゴマだれ風味のつけ汁がよく合います。同じブリでも、背と腹ではまるで別の魚のように味わいが異なります。そのため、ブリしゃぶ用に選ぶ際は冊の“色”や“脂の入り方”を見て選び分けるのも楽しいところです。

ブリを潜らせる出汁も、その美味しさを左右する大切な存在です。基本は昆布出汁ですが、酒を少量加えるだけで上品な旨味が広がります。さらに、薄切りの生姜を数枚浮かべれば香りがふわりと立ち、後味がすっきり。柚子皮を少し加えると、清々しい香りが重なり、鍋全体がぐっと華やぎます。

そして、食卓にもうひとつ冬の楽しみを添えてくれるのが日本酒です。この時期限定の「可惜夜(あたらよ)」は、ふくらみある味わいが魅力で、出汁に潜らせたブリの脂をすっと受け止めてくれます。冷やすと凛とした表情となり、後味を清らかに整えてくれる一本です。

しぼりたて ギンルビィ」は、やさしい甘味をもつしぼりたて。背身の軽さにも、腹身の濃厚な甘味にも寄り添い、温度によって表情が変わるのも楽しいところ。冷やせばすっきり、常温ではふくらみ、ぬる燗では甘味がしっとりと開き、やわらかな香りが広がります。

締めは、ブリと野菜の旨味が溶け込んだ出汁で作る雑炊がおすすめ。さっと塩で整えるだけで、思わず目を閉じるほどのやさしい味わいに仕上がります。湯気の向こうに家族の笑顔が揺れる、そんな幸福が冬の食卓には詰まっています。

今年の初冬は、家で気軽にブリしゃぶを囲み、季節の酒を片手に、豊かなひとときを過ごしてみませんか。温かい鍋と旨いお酒が、寒い夜を静かにほぐしてくれます。

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可惜夜の世界観を実感できるハートウォームなドラマ「舟を編む」。

言葉を通して人生を紡ぎ直す物語。そこに散りばめられた人の温かさ。

いよいよお待ちかねの2025冬の限定「可惜夜(あたらよ)」の登場です。“魅せる菊正宗”をコンセプトに、酒質をはじめ、精米歩合、日本酒度、甘辛度など、すべて“謎”のミステリアスなお酒「可惜夜」が登場したのは2017年冬のこと。今年で9年目を迎える「可惜夜」が公表しているのは“嘉納会特A地区産の山田錦を100%使用”ということだけです。“明けるのが惜しいほど、美しい夜”という意味の「可惜夜」。この名に込められた思いは、月の光に照らされた静かな夜の風情をこよなく楽しめ、飲むたびに心を照らすような余韻を残します。

この言葉が印象的に登場したのが、NHKドラマ「舟を編む〜私、辞書つくります〜」。辞書編纂を通して、挫折から再生へと歩み出す人々を描くヒューマンドラマ。原作は直木賞作家・三浦しをんの小説です。昨年NHK BSで人気だったドラマを地上波で再放送したのが今年の夏。12年前公開の映画版の流れを汲みつつ新たな解釈で綴られた作品でもあります。一見地味にも思える辞書編集という仕事を舞台に、言葉と誠実に向き合う人々の情熱を、細やかな筆致で映し出しました。

ハッと気づかされる台詞も多く、そんな言葉のやり取りに共感を得た視聴者も少なくありません。見逃した方はNHKオンデマンドで視聴可能なので、人生にお疲れの方は心の栄養補給に、ぜひご覧あれ。

大まかなストーリーは、辞書編集部を舞台に挫折から自己と向き合い自分を取り戻すお話です。主人公の岸辺みどりは、かつてファッション誌で活躍していたモデル出身の編集者。けれどSNSでの炎上をきっかけに、自信を失います。そんな彼女が異動した先は、まったく畑違いの辞書編集部で、最初は“左遷?”と戸惑い気味。華やかさとは無縁の職場で、みどりは次第に言葉と向き合う日々を通して自分を取り戻していきます。作中で印象的なのが、みどりの“ちゃんと間違えないと、ちゃんとは学べないんですね”というひと言。

間違いに気づき、見直し、修正する作業の積み重ねが辞書づくりの基本です。実直なまでの失敗を積み重ねながら成長していく姿に共感する視聴者も多かったはず。また、彼女が口にする言葉は、時に新鮮で、時に斬新。素朴な視点で発せられる言葉は、編集スタッフをも巻き込んでドラマが進む中、彼女ばかりでなく、編集部全体の成長を実感できる脚本は秀逸です。

そんな温かな物語の中で、クリスマスイブを楽しむ編集スタッフの笑顔のシーンが月を映した夜空に切り替わり、そこに浮かび上がる「あたらよ【〈可惜〉夜】明けるのが惜しい、すばらしい夜。」という辞書の一節。

このシーンは、静かな幸福の象徴のようでした。“明けるのが惜しいほどの夜”それは、誰かと過ごす時間の尊さを語る言葉です。

可惜夜」という名を冠した日本酒もまた、明けるのが惜しい時間に寄り添ってくれる存在です。月が冴えわたるしんと静かな夜に、そっと杯を傾けながら、心を解きほぐす余韻が広がります。明けるのが惜しいほど、美しい夜に。

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現代人に必要な「温活」という新しい習慣。

温める暮らしが、身体全体のめぐりを変える。

よく耳にする「○活」という言葉。その発端となったのは、就職活動を略した「就活」です。バブル崩壊後の1990年代半ば、深刻な就職難を背景に就活という言葉が定着。やがて婚活、腸活、終活など、流行や社会現象を端的に表す言葉として「○活」表現は幅広く使われるようになりました。そして、いま新たに注目されているのが「温活」です。

身体を内側から温めることで、血流や代謝を整え、冷えを防いで健やかさを保つという考え方。女性誌やSNSを中心に人気が広まり、若い世代は美容やリラックス、中高年層は健康維持を目的に、幅広く取り入れられているようです。現代人の平均体温は、わずかに低下しているといわれます。運動不足や冷暖房の普及、ストレス社会による自律神経の乱れなど、便利さと引き換えに“身体が熱を生み出す力”が弱まっているとのこと。だからこそ、日常の中に温活を習慣づけることが大切です。温活は、血行を促し、基礎代謝を上げることで免疫力を高め、冷えからくる体調不良を防ぐことが期待できます。温活というと冬だけのものと思われがちですが、実は一年を通して必要な対策です。

夏は冷房や冷たい飲み物で体が冷えるため、意外にも“夏の温活ニーズ”は高まっています。つまり、冬は“冷え込み対策”、夏は“冷えすぎ防止”という考え方です。季節を問わず、自分の体を整えるセルフケア習慣としての意識が広がっています。温活の基本は、身体を冷やさないこと。血流を滞らせる締め付けの強い服や下着を避け、下半身を中心に温めましょう。朝起きて白湯を一杯飲むだけでもめぐりが良くなります。また、軽い運動を取り入れるのも効果的。筋肉の七割は下半身にあるため、スクワットなどの動きで足腰を鍛えると、基礎体温を上げる助けになります。

心と身体をほぐす身体を温める習慣としておすすめしたいのが「ぬる燗」。寒い夜に40℃前後のぬる燗をゆっくり味わう時間は、内臓を冷やさず、身体を穏やかに温めてくれます。日本酒に含まれるアミノ酸や有機酸が香り立ち、リラックス効果も高まります。副交感神経が優位になり、ストレスによる冷えを和らげる働きも期待できるでしょう。とはいえ、飲む時の気温や肴によっては、冷酒、熱燗を楽しみたいところ。日常的にはぬる燗を意識しつつ、好みに応じて飲み分ければ良いだけです。

この秋に新登場した「しぼりたて ギンルビィ」は、冷酒から熱燗まで幅広い温度帯で楽しめる日本酒です。バナナやリンゴ、ライチのようなフルーティーな香りと、米由来の自然な甘みが調和し、温度によって異なる表情を見せてくれるのも魅力です。ぬる燗でゆったり過ごすひとときは、まさに現代の温活といえるかもしれません。

さらに、入浴も温活の基本です。シャワーだけで済ませず、38〜40℃のぬるめのお湯に30分ほど浸かることで、身体の芯までじんわり温まります。

コメ発酵液をたっぷり含んだ「美人酒風呂」や「酒蔵のととのう入浴料 酒と塩」など、日本酒由来の入浴剤を使えば、湯上がり後も保温力が続き、肌もしっとり。心身ともに“ととのう”ひとときを楽しめます。 温活の基本は、無理をせず、ゆるやかに続けること。毎日完璧にこなす必要はありません。白湯を飲む、湯船に浸かる、ぬる燗を一献傾ける。そんな小さな積み重ねが、きっとあなたの身体と心を温め、めぐりの良い暮らしへとつながっていくはずです。

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暦の上では冬。でも、体感は、まだ秋の途中

暦の節目と実際の気候のずれ。その間にこそ、日本の今の季節感があります。

秋になっても夏のような日差しに汗ばむ日々が続く昨今。2025年も例外ではなく、10月半ばを過ぎてようやく朝晩の空気がひんやりと感じられるようになりました。季節の歩みは、どうにも足踏みしているように感じられます。そうした中で迎えた、暦の上では11月7日が「立冬」です。二十四節気ではこの日を境に“冬の気配が立ち始める”とされています。しかし、体感的にはなんとなく秋が深まったばかり。暦と現実のずれに、少し不思議な感覚を覚える方も多いのではないでしょうか。

二十四節気は、太陽の動きをもとに一年を24等分し、季節の移り変わりを示した暦の区分です。もともとは農作業の目安として生まれましたが、現代では季節の移ろいを感じ取るためだけの存在になっています。立冬はその中の、冬の始まりを告げる節目のひとつです。肌感覚では、“冬の始まり”というより“秋の後半”といった方がしっくりきます。紅葉の見頃も年々遅れ、街路樹が鮮やかに色づくのは11月中旬から下旬。暦が示す季節より、体感の季節が半歩ほど後ろを歩いているようです。

二十四節気をさらに3つに区分けした七十二候でいえば、立冬の初候は「山茶始開(つばきはじめてひらく)」。山茶花(さざんか)が咲き始め、冬の訪れを静かに知らせる頃とされています。実際に庭先で白や淡紅色の花を見かけるようになるのも、まさにこの時期です。朝晩の空気が澄み、冷気が頬に触れる瞬間に、ようやく季節が変わったと実感。そんな微妙な境目こそ、日本の四季の面白さかもしれません。

立冬は、暦の上で冬が始まるこの日を境に、服装、暖房、食材などを冬仕様に整えるきっかけとなる日ともいえます。

すでにコートは出しているか、暖房をいつから使おうか、根菜や鍋の材料を意識し始めようかなど生活意識を冬へと切り替えるタイミングなのです。テレビの気象情報などにおいても、冬入りの実感という観点から“例年より”という比較がなされます。“そろそろ寒くなってくる見込み”“冬の足音が感じられた”“立冬をめどに寒さが本格化”などの言葉が聞こえ始めたら、冬は確実に近くまで来ているということに他なりません。

気候変動の影響で、季節の巡り方が昔とは異なる今。私たちは“暦どおりの季節”ではなく、“自分の体で感じる季節”を大切にしていく時代を生きています。立冬を、冬の入口と決めつけるのではなく、「秋と冬のあいだを味わう日」として楽しむのも素敵なとらえ方です。

朝晩の空気が澄み、温かい飲み物が恋しくなる頃。吐く息が白くなり始める少し前のこの季節こそ、一年でもっとも移ろいの美しい瞬間です。暦の上では冬でも、実際の季節感はまだ秋が居座っている…そんな“季節のゆらぎ”を感じながら、今日も一日を丁寧に過ごしたいものです。冷え込んだ夜には、美味しい肴を用意して、燗酒などいかがでしょうか。

「菊正宗 特撰 1.8L」
山田錦を使用し、生酛の技で醸した奥行きのあるうまみと抜群のキレ味の、料理の味が引き立つ辛口本醸造酒です。
特に気温が下がってくるこの時期には、燗にしていただくのがおススメです。

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