ヤマブシタケにヌメリスギタケやタモギタケも!!奈良・東吉野「きのこの舘」に行ってきました!

ご縁があって、奈良は東吉野村にある「きのこの舘」に行って参りました。

神戸より車で約2時間。降り立つとそこは山の空気!心地いい!

聞こえる蝉の声も種類が違います。

期待が高まる!

アケビがたわわに実る入り口をくぐりお店の中へ。

木の温もりを感じる店内です。

鮎やあまごが元気に泳ぐ水槽もあります。

まずは、オーナーご夫妻のお話を聞かせていただき、

きのこを育てているお部屋を見学させていただきました。

 

初めに見せていただいたのは、

認知症予防効果で話題になったと言うタモギタケ

美しい。。。

さぁ、きのこの部屋へ!

なんとかわいい!

すくすく成長中のきのこ達。

10種類くらいのきのこを育てているそうです。

16~17度の温度、90%ほどの湿度が大事とのこと。

秋の味覚の代表格、きのこ。

秋の環境を作っておくことがポイントのようです。

こんなきのこも!

ヤマブシタケ、確かにイメージする山伏が首からさげている飾り?のよう。

ちょっとした環境の変化で成長具合が変わるそう。

こちらのきのこは全て無農薬、オーガニック!

収穫まで3ヶ月ほどの期間を要するようです。

天塩にかけて育てられたきのこたち。

ここまできたら、ぜひ味わってみたい!

お店で、きのこの網焼きをいただくことにしました。

きのこの盛り合わせ

さ、焼いていきますよ~。

炭の良い香りがします。

網焼きのポイントは傘を下に置き、ひっくり返さずじっと待つこと。

しんなりと、水分が出てきたら食べ頃のようです。そろそろかな?

とれたて、焼きたての椎茸を塩でいただきます。

いい香りと塩で引き締まった椎茸の旨みがたまらない!

エリンギも甘味があって美味しい!

ヒマラヤヒラタケは独特の香りです。

なんと今日はヤマブシタケがあるから、と天ぷらにしていただきました。(日によるようです。)

「これがきのこ?なんとクリーミー!」不思議な食感でした!

奈良の吉野といえば、吉野杉の産地、樹齢100年以上の吉野杉の樽にお酒を詰める

キクマサの樽酒にも欠かせない場所ですが、

とても水の美しい土地です。

水槽で元気に泳ぐ「鮎」「あまご」も気になってしまい、いただきました。

元気が良過ぎて、飛び出してしまいそうな勢い。

塩加減が絶妙!大事にいただきます。

皮は香ばしく、身はふっくら、臭みもなく、美味しかったです!

さて、”きのこ”の一番美味しい食べ方” を聞いてみたところ、

素材の味の違いを味わうには天ぷらがオススメ!とのことでした。

んー網焼きもたまらないですが、天ぷらも美味。

吉野のご縁で菊正宗の樽酒も置いていただいておりますが、酒の肴にもピッタリだ!

と思いました。

あー車の運転がなかったら禁酒中じゃなかったら、飲みたかったー!

釘も糊も使わず、吉野杉の酒樽を仕上げる職人技も必見!(神戸:樽酒マイスターファクトリー

吉野つながり、最高の組み合わせではないですか!

次回はお酒もご一緒に!

他にも気になるきのこメニューがいっぱいです。

 

夜には鹿の声が聞こえ、夏には蛍も飛び交う自然豊かな土地、吉野。

またゆっくりと訪れたい気持ちになりました。

お近くの方は是非一度、珍しいきのこを食べに、行ってみてくださいね。

素敵なご夫婦が歓迎してくださいます。

「きのこの舘」

〒633-2422  奈良県吉野郡東吉野村鷲家1601 

電話:0746-42-0991 

平日:11時~16時(直売は9時より)

土日祝:11時~17時 きのこなくなり次第終了

定休日:木曜(木曜日以外にも不定休で休むことがあります)

そして、なんと!

菊正宗ネットショップにて、

特別に「きのこの舘 きのこ詰合せセット」を

産地直送にて販売、

お届けできることになりました!

行きたいけれどちょっと遠くて、という方、おうちで食べてみたい!という方、

自然豊かな土地で大切に育てられた 

ちょっと珍しいきのこがご自宅で食べられるチャンスです。

気になる方は是非、お早めにご予約くださいませ。

こちらをクリック→菊正宗オリジナルきのこ詰合せ

(2023年9月9日0時より販売開始!限定20セットです!)

「きのこの舘」オーナー監修のきのこ説明書付き。

数種類のきのこ(時期により組み合わせは変わります。)を現地より直送いたします。

(菊正宗ネットショップのポイントは付与されますが、産地直送のため、同時に他の商品をご購入いただけません。ご了承ください。)

画像は一例です。(時期により組み合わせは変わります。)

「きのこセット」とお気に入りのお酒を用意して、おうちでちょっとしたパーティー、

きのこ祭り!いかがですか?

叙情豊かに歌い上げる「夏は来ぬ」。深く歌詞を知れば、故郷はより身近に。

「立夏」辺りから、夏へまっしぐら。その季節感を歌い上げたのが「夏は来ぬ」。

今年の二十四節気の「立夏」は
5月6日。

この日辺りから梅雨を挟んで、
夏に向かって暑さを増す季節です。

そして、
ちょうど田植えの時期と重なります。

かなり遠い昔、
町中でも
ちょっと歩けば田畑が広がり、
田植えをする光景を
目にすることができました。

そんなシーンを描いた
「夏は来ぬ」という唱歌があります。

子供の頃に聞いた歌ですから、
深い意味など考えず、
漠然と夏の訪れを感じるくらいの
歌だったような記憶だけが残ります。

余談になりますが、
子供の頃に耳にする歌といえば、
“わらべうた”“唱歌”“童謡”
など。

“わらべうた”は、
“遊びや生活の中で自然とつくられた
遥か昔より歌い継がれた歌”で、
大人が口ずさむことで伝承してきた
子守唄や遊ばせ歌も
“わらべうた”に含まれ、
日本最古の“わらべうた”が
万葉集にあることから、
その歴史は奈良時代にまで遡ります。

一方、“唱歌”は
“明治初期から
第二次世界大戦終戦までにつくられた
学校教育用の歌”、
“童謡”は
“大正時代に子供のために
芸術性を重視する目的で
つくられた歌”
という定義があるようです。

しかし、現在は
“子供のうた”や
“みんなの歌”などと、
ひと括りにして親しまれています。

さて、「夏は来ぬ」は、
1896年(明治29年)に
「新編教育唱歌集(第五集)」で
発表された“唱歌”で、
作詞は佐佐木信綱、
作曲が小山作之助。

2007年(平成19年)には、
「日本の歌百選」に
選出されています。

季節感にあふれる
叙情描写が見事な歌なのですが、
発表時期が19世紀、
古典文学者による作詞
ということもあり、
古い昔のかなり堅い文語による
描写を多用。

歌詞を聞いたとき、
一度では何をいっているのか
理解できません。

タイトルの「夏は来ぬ」からして、
“夏が来ない”
といっているようです。

“来ぬ”とは、
“来る” の連用形“き”に、
完了の助動詞“ぬ”の終止形が
加わった形で、
現代語に訳すと
「夏が来た」という意味になります。

まずは、1番の歌詞を例に紐解きます。

耳に届く“音”を表す意味で
ひらがなによる表記だと、
“うのはなの にほふかきねに 
ほととぎす はやもきなきて 
しのびねもらす 
なつはきぬ”
漢字をまじえた表現にすると、
その意味が薄っすらと見えてきます。

“卯の花の 匂う垣根に 
ホトトギス 早も来鳴きて 
忍び音もらす 
夏は来ぬ”
現代語に訳すと次のようになります。

“初夏に白い花を咲かせる
ウツギの花の香りが漂う垣根に 
ホトトギスが早くも来て 
今年の初鳴き(忍び音)の声が
聴こえている 
あぁ夏が来たんだなぁ”

どうですか、
叙情豊かな昔のくらし振りが
見えてきませんか。

春から初夏に向けて、季節の移ろいを綴った歌詞に、農村の郷愁が見えてきます。

2番の以降の歌詞と現代語訳は
次の通りです。

《2番歌詞》
五月雨(さみだれ)の そそぐ山田に
早乙女が 裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる 
夏は来ぬ

→《現代語訳》
梅雨の雨が降りしきる山の田んぼで 
若い女性が衣類の裾を濡らしながら 
稲の苗代を田に移し植えている 
あぁ夏が来たんだなぁ

《3番歌詞》
橘(タチバナ)の 
薫る軒端(のきば)の
窓近く 蛍飛びかい
おこたり諌(いさ)むる 
夏は来ぬ

→《現代語訳》
ミカン科の“橘”の
花の香りがする軒下の 
窓の近くで蛍が飛んでいるのを見ると 
夜の勉学を怠けそうになる気持ちが
引き締まる 
あぁ夏が来たんだなぁ

《4番歌詞》
楝(おうち)ちる 
川べの宿の 門(かど)遠く 
水鶏(クイナ)声して
夕月すずしき 
夏は来ぬ

→《現代語訳》
栴檀(せんだん)とも呼ばれる
“楝(おうち)”の
庭木の薄紫の花が散る6月 
川辺に佇む家の遠くで 
水鶏(クイナ)の戸を叩くような
鳴き声が聴こえ 
夕暮れに浮かぶ月に
心地よい涼しさを感じる 
あぁ夏が来たんだなぁ

《5番歌詞》
五月(さつき)やみ 蛍飛びかい
水鶏(クイナ)鳴き 卯の花咲きて
早苗(さなえ)植えわたす 
夏は来ぬ

→《現代語訳》
梅雨時のとりわけ暗い夜の闇 
(以降は、1番から4番までに登場した
“蛍”“水鶏(クイナ)”
“卯の花”“早苗(玉苗)”など、
この季節の季語が並ぶ、そして…) 
あぁ夏が来たんだなぁ。

「夏は来ぬ」は、
1番から5番へと物語を紡ぎ、
春から初夏への季節の移ろいを
情景に盛り込んだ
郷愁あふれる歌に仕上がっています。

意味も分からずに聞いていた時は、
そののどかなメロディーが
耳に残る程度ですが、
意味を知ってから聞くと、
昔の農村のくらし振りが垣間見える
原風景そのもの。

お気に入りの
昔の歌の歌詞を紐解いてみると、
これまで気づかなかった
新しい発見や
行間に込められ物語などを
見つけることが
できるかも知れません。

王者の風格を備えた山菜“たらの芽”。“旬”の美味しさは、これからです。

人気アニメ作品「鬼滅の刃」にも登場した“たらの芽”。

今回も春を代表する
“旬”の山菜をご紹介。

独特のほのかな苦味と
しっとりとした食感が癖になる、
“山菜の王様”との呼び声の高い
“たらの芽”です。

しかし、“行者ニンニク”と同じく、
春の訪れを感じる食材としては
知られているものの、
どんな料理をつくれば良いのかという
イメージが湧きにくい、
やや地味な印象の食材ともいえます。

ところが数年前、そんな地味な
“たらの芽”にスポットが当たる
瞬間があったのをご存知でしょうか。

全国的なブームとなったアニメ
「鬼滅の刃」の設定資料に書かれた
主人公の竈門炭治郎の好物が
“たらの芽”という一文です。

とにかく猫も杓子も大騒ぎの
大ブームだったこともあり、
細かいことも話題になる状態で、
思いもかけず“たらの芽”
という名前が表舞台へと
導かれました。

多くのファンがそれまで知らなかった
“たらの芽”を知ることになり、
一部の熱狂的な「鬼滅」マニアが
“たらの芽”を買い求めたという
話もあったようです。

“たらの芽”が採れるのは
“たら”という名前の木ではなく、
“タラノキ”という名前の木です。

“たらの芽”をまったく
知らない人にとっては、
その音の響きから魚の“タラ”の
目玉をイメージし、
その高い栄養価が話題になった
マグロの目玉を思い描く方も
おられるのでは。

実は、“タラノキ”と魚の
“タラ”は意外な関係にある
ともいわれています。

そのひとつが、“タラノキ”の
ザラついた木肌が魚の“タラ”に
似ているというもの。

魚の“タラ”と区別するために
“タラノキ”までを
名称とした説もあります。

“タラノキ”の葉を尖った枝などで
引っ掻くとそこが黒くなる性質があり
同じ性質を持つ
“タラヨウ(多羅葉)”の
“タラ”が転訛したものという
別の説もあります。

“タラノキ”は正式な和名ですが、
名付けられた由来は
よく分かっておらず、
さらに地方ごとの呼び名が
多く存在する木です。

地方ごとの方言名の数は100種類を
超えるともいわれ、
“タラ”という文字を含む
“タランボ”や“タラッペ”、
トゲトゲした枝の特徴から
“オニノカナボウ”、
“イギノキ”など、
まったく別の名前が存在します。

これは、北海道から沖縄の
全国の山に自生する
普通の木のひとつなので、
それぞれの地域で独自の呼び名で
呼ばれているということを
表しています。

木の高さは、大きくなっても
2〜3mほどの落葉低木。

生育旺盛でどんどん新しい芽を出して
成長しますが、寿命は15年前後と、
樹木の中ではかなり短命です。

市場に出回るほとんどが栽培もの。野趣あふれる美味しさを楽しむなら天然もの。

野生の“タラノキ”の
見分け方は簡単です。

それほど太くない幹はトゲトゲで、
ひと目見ただけで、どこかの地方で
“オニノカナボウ”と
呼ばれている理由が分かるほど。

早春ともなると、
目ざとい地元の人たちによって、
“たらの芽”の最初の新芽は
採られることが多く、
野生の“たらの芽”は
意外と入手困難です。

新芽は次々と芽吹きますが、
2番芽以降の新芽を摘まれると
“タラノキ”は枯れてしまうことが
多いともいわれ、
野生種を維持する意味で、
“1番芽以外は採らない”という
暗黙のルールもあるようです。

“たらの芽”の
特出すべき栄養価として
体内に溜まったナトリウムを外に
排出する働きのあるカリウムを
多く含んでおり、高血圧予防に
効果が高いといわれています。

また、βカロテンをはじめ、
マグネシウム、リン、鉄分、
ミネラルなどの栄養素も豊富に含み、
健胃や強精、強壮作用への
期待が持てる食材として、
昔から重宝されてきました。

スーパーなどの店頭に並ぶほとんどが
栽培ものなので、
野生種が持つ独特の苦味や
クセのある風味はややまろやか。

“たらの芽”本来の野趣にあふれた
香りや風味を楽しむなら
野生の天然ものがオススメです。

料理にする前の下処理は、
付け根のハカマや
硬い部分を切り落として、
1ℓの水に塩20gの割合の
沸騰した湯で2〜3分茹でて
冷水に漬け込んでアク抜きを。

天ぷらなど生のまま調理する際は
アク抜きは不要です。

油で揚げることでアクが
旨味に変わります。

アクを抜いた“たらの芽”は
ポン酢で和えて鰹節を振った
お浸しやゴマ味噌和えなどが
定番の料理。

パスタの具や炒め物の具にも
適していて、オリーブオイルや
バターと相性の良い食材といえます。

独特の苦みのある風味は、
酒の肴としても一級品。

まだ朝夕涼しい時期なので、
今シーズン最後の燗酒にもぴったり。

もちろん冷酒にも合うので、
お好みに合わせて、春の“旬”を
ご堪能ください。

行者ニンニクの美味しい季節。その風味は辛口の日本酒に合います。

春が“旬”の植物が多いのは、厳しい寒さによる“休眠打破”のおかげ。

冬の寒さが和らいで
暖かい日が増えるにつれ、
多くの植物は花を咲かせたり、
萌芽、発芽を迎えます。

この大きく成長するキッカケ
となるのが“休眠打破”
と呼ばれるものです。

これは冬に入る前に、
種子や芽、球根などを
一旦休眠して成長を止めていた植物が
冬の厳しい寒さによって
目を覚ますことを“休眠打破”と呼び
そこから春の暖かさに導かれるように
成長していきます。

この“休眠打破”で有名なのは桜で、
例年とくらべて暖冬だったり、
寒い期間が短いなど、
冬の寒さが不十分だったことが
開花時期を遅らせる原因
ともいわれています。

また、乾燥によって
種子や植物本体の
含水量が低下することで
休眠状態から解除されるなどの
“後熟”という現象も
深く影響を及ぼすとか。

たとえば、春の開花時期に受粉し、
すぐに萌芽や発芽をしてしまうと、
冬の寒さなどで種子をつくる前に
死に絶えてしまいます。

子孫を残すために
休眠状態に入るという、
まさに植物が生き残るための知恵。

たとえば、育てようとする
野菜などの成長メカニズムを
十分に考慮した温度管理を
上手く取り入れることができれば、
栄養価の高い美味しい野菜を
安定して収穫することができる
という訳です。

こうした研究成果は、
ハウス栽培などで応用されています。

例に漏れず、
同じように春から初夏に向けて
多くの山菜類も“旬”を迎えます。

先ごろ、このブログで紹介した
“わらび”や“ぜんまい”などは、
春に“旬”を迎える山菜の
代表格です。

同じく春が“旬”の山菜に、
ワケありげな名前を冠した
“行者ニンニク”があります。

“行者ニンニク”が
スーパー店頭に並ぶと、
春の訪れを感じる反面、
調理方法が想像できず、
なかなか手が出しにくい
山菜のひとつともいえます。

いまは、
数多くの料理を手助けしてくれる
レシピサイトがあるので、
初めての食材に
手軽にチャレンジしやすい時代。

“行者ニンニク”を使った
初の料理に
挑戦してみてはいかがですか。

下処理さえちゃんとすれば、
調理そのものは
意外と簡単なようです。

行者ニンニクを使った料理は簡単。普段使ってる食材を置き換えればいいだけ。

“行者ニンニク”は
ユリ科ネギ属の多年草で、
タマネギやニンニク、
ニラと同じ種類の山菜で、
ひと言で表すなら、
滋養強壮効果の高い野生のネギ
といったところ。

山形県庄内地方の
出羽三山の奥深くに籠って
厳しい修行を行った行者たちが、
修行の際の栄養源として食べ、
ニンニクの臭いがすることから
“行者ニンニク”
の名前が付けられたとか。

そういう意味で、
“行者ニンニク”の発祥は
山形県鶴岡市とされています。

しかし、
当の修験道の行者である山伏には、
皮肉にも
“修行中に精がつく物を
食べてはいけない”
という厳しい戒律があるため、
行者が隠れて食べていたとか、
宿坊で参拝客に振舞ったとか、
その名前を裏付ける話が
諸説残されています。

ところが、市場に出回っている
ほとんどが北海道産。

1月頃からハウス物が市場に出始め、
3月になると北海道南部の天然物が
店頭に並び始めます。

その後、北へと産地を移動しながら
4月中旬~5月中旬に最盛期を迎え、
6月初旬頃までが“
行者ニンニク”の流通シーズンです。

天然物の食べ頃の“旬”は、
4月中旬から5月いっぱい
といったところでしょうか。

“行者ニンニク”の成長は
とても遅く、種を蒔いてから
2年目の春にようやく
芽を地表に出します。

それもヒョロヒョロとした
細い茎に葉は1枚だけ。

種を蒔いて3年から
4年目になってから
葉が2枚以上となり、
5年目あたりでようやく
茎が伸びて花が咲き、
種がつき始めます。

その時点で、ようやく株の太さが
鉛筆の太さくらいとなって
収穫できるようになります。

現在市場に出回っているものは、
“行者ニンニク”の亜種とされる
北海道産の“キトビロ”や
“アイヌネギ”で、
原産とされる鶴岡産は
希少価値が高く、
“幻の山菜”とも呼ばれています。

成長が遅いことから
流通に向かず、山形県鶴岡市では
栽培をやめた農家が多く、
広大な土地をもつ北海道産のものが
流通するようになったものと
伺い知れます。

さて、“行者ニンニク”を
美味しくいただくための下処理は、
まず根っこ近くの赤いハカマを取って
土の汚れをしっかりと
水洗いで取り除きます。

調理前の準備はこれで完了。

よく食べられているのは
醤油漬けや漬物、天ぷらです。

“行者ニンニク”は独特な
しっかりとした風味があるので、
シンプルな味付けで
いただくことができます。

また、てんぷらにしても、
歯切れの良いシャキシャキした食感と
香りが抜群。

根に近い部分はニンニクで、
葉に近づくにつれて
ニラのような香りの山菜と理解すれば
料理の幅も広がると思います。

ネギ感覚で豚バラ肉で巻いて
甘辛い醤油だれで炒める、
エノキの代わりにベーコンで巻いて
塩胡椒で炒める、
ニラ感覚で餃子の具に使う、
豚肉と一緒に
オイスターソースで炒める、
鶏肉と一緒に塩だれで炒めるなど、
普段の料理の食材を
“行者ニンニク”に変えれば、
レパートリーはかなり広がります。

季節柄、
キリッと冷やした辛口の日本酒に
合うこと請け合いです。

これから春に向けて、酒の肴にぴったりのホタテが美味しい時期です。

ホタテは、日本人にもっとも食べられている貝で、その“旬”は年2回。

間もなくホタテが美味しい季節です。
早いものは桜が咲き始める頃から
出始め、ゴールデンウイーク辺りから
夏に向けて最初の“旬”を迎えます。

夏のホタテは貝柱がどんどん太く育ち、
カラダ全体を大きく
成長させる時期です。

この時期のホタテは甘みが強く、
刺身でいただくのに最適。

また、肉厚の貝柱は、
その美味しさをたらふく堪能できる
バター醤油焼きがおすすめです。

辛口の冷酒の肴としてベストマッチ。

またこれ以降、日増しに、
春の陽気に包まれる日が多くなるので、
バーベキューのときにも、
ぜひ持っていきたい
食材のひとつに数えられます。

二度目のホタテの“旬”は、
産卵時期である春に向けて
卵を大きく育てている
12月から3月頃の冬のホタテです。

この時期のホタテは旨味成分を
多く含んだ強い出汁が特徴で、
汁物や煮物など、
コクのある料理に最適。

海鮮鍋などの
人気の食材のひとつといえます。

さまざまな貝類の年間生産量をくらべ
ると、圧倒的な生産量を誇るのが
ホタテです。

2020年(令和2年)の全国生産量は
約49.7万トン(この数値は天然の
“漁獲量”と養殖の“収穫量”を
足したもの)で、その約82%の
約40.9万トンを占めるのが北海道産。

天然ホタテに限ると
年間漁獲量約34.6万トンのうち、
ほぼ100%に近い約34.54万トンもの
シェアを持つのも北海道産です。

一方、養殖ホタテの市場規模は
15.1万トンで、その第1位は青森県産で
約54%の8.2万トン、続く北海道産は
約42%の6.39万トンとなり、
この2県で約96%を占めています。

ホタテに続く生産量が多い貝類は
カキで、市場に出回るほとんどが
養殖物。

その年間収穫量は約16万トン。

第3位はシジミ約9500トン、
第4位はアサリで約8000トンと
天然物の貝類が続きます。

生産量で判断する限り、
私たち日本人の胃袋にもっとも多く
収まっているのは
ホタテということになります。

ここで注目したいのは、
魚介類全般における養殖が天然の
代用ではないということ。

はるか昔、高価な天然物に
手が出ないので、養殖物で我慢する
という時代もありました。

しかし、現在は魚介の生態研究が
科学的に行われ、適切な生育環境を
維持しつつ、安定した栄養価の高い
餌を供給する成果として、
養殖が天然を超えて、ブランド化
している実例も数多くあります。

市場出荷されるウナギのほとんどが
養殖であることや養殖マグロも
高級魚としての市民権を得ている、
養殖フグの方が美味しい
という話もよく耳にします。

実際に、世界の漁業生産量の
半分以上を占めているのが
養殖ものなのです。

市場に出回ってるホタテは
養殖物が多く、天然物とくらべても、
その味や食感、栄養の違いは
ほとんどありません。

とりわけ、日本の養殖ホタテは、
世界的な評価が高く、トップクラスの
養殖物といっても過言ではありません。

ホタテやカキの貝殻を再利用した新しい取り組みがスタートしています。

さて現在、
SDGs(持続可能な開発目標)や
ゼロカーボン社会の実現など、
環境への配慮や負荷を減らす
さまざまな取り組みが
世界的に行われています。

使い捨てプラスチックゴミによる
海洋汚染対策もそのひとつで、
レジ袋の有料化を皮切りに、
プラスチック容器や包装材を木などの
代替素材へと切り替える動きが
広がってることはみなさん
ご存知の通りです。

こうした背景のもと、これまで
ゴミとして処分されていたホタテや
カキなどの貝殻が再生利用資源として
見直されていることは、
あまり知られていません。

現在、自然分解が可能な
生物由来のバイオプラスチックの
原料として植物が使われていますが、
新たに貝殻を原料として
運用する動きが。

とくに海に生息する貝殻の再利用という
視点は海洋汚染対策に一役買いそうな
イメージがあります。

貝殻を原料にした
バイオプラスチック製の割り箸や
食器をはじめ、
焼いた貝殻をパウダー状に砕いて
水に溶かしたアルカリ性の抗菌剤や
ボルダリング競技の滑り止め、
黒板に字を書くカラーチョーク、
貝殻原料のヘルメット、貝殻を砂状に
粉砕してコンクリート用細骨材として
活用したシェルコンクリートを使った
港湾構造物や波消ブロック、貝殻の
水酸化カルシウムの作用を利用し、
腐敗菌の繁殖を抑制するフィルムによる
野菜などの鮮度保持袋、貝殻由来の
土壌改良剤を田んぼに利用して
米をつくり、さらに日本酒を造った
というプロジェクトもあります。

ホタテの身を美味しくいただき、
その貝殻を再利用したり、
自然に戻すことで成立する循環型の
社会の実現は、私たちが目指すべき
理想的な未来の形なのかもしれません。