「ミョウガ」の“旬”は、初夏から秋にかけて。夏バテ解消にも効果あり。

「ミョウガ」を食べるのは花穂の部分。
希少な“ミョウガタケ”も、ぜひお試しあれ。

「ミョウガ」の“旬”の時期が到来。

これから秋にかけて、
「ミョウガ」が美味しい時期で、
この“旬”の「ミョウガ」を
楽しみにしている方も
たくさんおられるようです。

しかし、
独特の食感やクセのある香り、
苦味のある味を敬遠される方も
少なからずいます。

「ミョウガ」は、
いわゆる1年中食べられる
通年野菜のひとつで、よほどの
「ミョウガ」好きでない限り、
薬味や刺身のツマで
食べられることの方が多い
香辛野菜といえます。

「ミョウガ」は、
ショウガの仲間です。

ショウガは地下茎を刻んで
食べるのに対して、
「ミョウガ」は地下茎から伸びて
土から顔を出した花穂を
摘み取ったものが食用となるため、
別名“花みょうが”
とも呼ばれています。

土から顔を覗かせるタケノコと
収穫時のイメージは
似ているかも知れません。

「ミョウガ」の断面も、芯を中心に
タケノコの皮のように幾重にも包まれ
花芽ができていきます。

「ミョウガ」を
食べるのは日本だけで、
食用として栽培しているのも
日本だけとされています。

高知のハウス栽培により
通年出荷されているものが
年間生産量の約9割を占め、残りは
秋田、奈良、群馬、和歌山など、
“旬”に味わう
露地栽培の「ミョウガ」です。

夏に“旬”を迎える「ミョウガ」は、
爽やかな香りが増し、
味が濃くなるのが特徴で、
“夏ミョウガ”とも呼ばれます。

そのまま“旬”の時期を継続しながら、
花穂がより赤く染まり、ふっくらと
肉づきが大きくなる“秋ミョウガ”の
10月頃まで、店頭に並びます。

また、“ミョウガタケ”という
「ミョウガ」の名を冠したものも
あります。

焼き魚などに添えられている
“はじかみショウガ”に
よく似ていますが、まったくの別物。

「ミョウガ」は
地下茎が広がって成長し、
そこから伸びた花穂を食べることが
ほとんどなのですが、
地表で伸びている葉がついた
“偽茎”と呼ばれる部分に土を盛る
“軟白栽培(日に当たると
赤くなるので土で覆う)”
を行って“ミョウガタケ”を
生産する生産者もいます。

具体的には、露地栽培によって
根株を大きく育てて、
ムロに植え替え、
収穫までに1年半もの時間がかかる
大変な栽培方法。

時間がかかるうえ、途中、
2度ほど太陽光に当てて色を付け、
併せて、背の低いムロで育てるなど、
手間暇のかかる栽培方法なので、
「ミョウガ」とくらべて、
出荷数はかなり少なめです。

店頭に並ぶのも稀な
希少野菜ともいわれ、
その生産の約半数を宮城、
約1/3を京都が占めています。

「ミョウガ」よりも
香りや風味がやさしく、
シャキシャキした食感が特徴で、
“旬”は春頃。

あまり市場に出回らないので、
「ミョウガ」好きの方は、
店頭で見かけたら、
ぜひ食べくらべしてみてください。

 

京都_赤山禅院_十六羅漢像

夏バテ解消の栄養価が高い「ミョウガ」。
薬味で楽しむだけではもったいない。

「ミョウガ」にまつわるお話として、
“ミョウガを食べると、
物忘れがひどくなる”
というのがありますが、
これはまったくの迷信です。

この話は、
“周利槃特(しゅりはんどく)”
というお釈迦様の弟子が発端で
生まれた話とのこと。

彼は自分の名前も覚えられない
物忘れがひどい人物で、
彼のお墓から生えたのが
「ミョウガ」であったことから、
「ミョウガ」を食べると
物忘れをするという迷信が
生まれたとされています。

実際の「ミョウガ」は、
物忘れどころか、
かなり栄養価の高い食材です。

あの独特の赤紫色は
“アントシアニン”によるもので、
この成分には抗酸化作用があるため、
活性酸素の増加や
筋肉疲労を抑制する効果があります。

つまり、夏バテによる
身体の疲労を改善する効果が
期待できるというもの。

血圧上昇の抑制や血流を促進する
“カリウム”が豊富で、
夏場の水分の摂り過ぎによる
ムクミの緩和にも効果的です。

独特の香り成分の“𝛼ピネン”は
胃液の分泌を促すので
食欲増進の作用があり、
発汗や血液循環を
促進する働きもあるため、
冷房による冷えやムクミの改善に。

また、“カンフェン”の抗菌作用や
抗炎症作用は夏風邪予防に
繋がるとされています。

さらに辛味成分の
“ミョウガジアール”にも、
血流促進や抗菌作用があります。

これほど、
夏バテ解消に効果が期待できる
「ミョウガ」を、薬味としてだけで
食べるのはもったいないお話です。

「ミョウガ」嫌いは、
子供の頃に食べたイメージで
敬遠している方が多いと聞きます。

大人の味覚となった今なら
食べられるかも知れません。

そんな方にオススメなのが
天ぷらです。

甘みのあるカボチャやサツマイモ、
コーンなどと一緒に、少し苦味のある
「ミョウガ」の天ぷらに
チャレンジしてみては、
いかがでしょうか。