七夕は、別名“棚幡”。邪気払いの日本酒はいかがですか?

逆境が育む、つのる恋心。7月7日が晴れる確率は約3割。

イギリスの劇作家シェイクスピアの
代表戯曲「ロミオとジュリエット」。

言わずと知れた、かなわぬ恋の悲哀を
描いた作品で、たびたび
舞台上演や映画化されている、
時代を越えた傑作です。

いがみ合う2つの名家の対立は
激しさを増すばかり。

それぞれの家の純朴な若い二人に
恋心が芽生え、結ばれるために
一計を案じますが、
すれ違いにより若い二人は
帰らぬ人に…ざっくりと、
そんなお話です。

この時代に携帯電話さえあれば
二人の計画は上手く運んだものの、
とついつい思ってしまいます。

織姫と彦星(牽牛)が登場する
「七夕伝説」も、
同じようなお話かと思いきや、
少々、その内容は異なるようです。

元となったのは、中国発祥の
「牛郎織女(ぎゅろうしゅくじょ)」
という物語。

昔むかし、天帝は、娘の織姫が、
身なりに構うことなく、
はた織りに励む毎日を
送っていることを不憫に思い、
娘に見合った婿探しをはじめました。

そして、勤勉に牛の世話に励む若者、
彦星と出会います。

彼が働く姿を見た天帝は、
“この若者こそ、娘を幸せに
してくれるに違いない”と、
彼を娘の結婚相手に決めました。

そして結婚した二人は毎日
仲睦まじい生活を送りますが、
それまでとは一転、
二人は仕事をまったくせず、
遊んで暮らす毎日。

それに怒った天帝は
織姫と彦星を天の川で
隔てて引き離すことに。

突然引き離され、
悲しみに暮れる二人は、
働く意欲さえなくなりました。

その姿を見かねた天帝は、
真面目に働くのなら、
7月7日だけ逢わしてやると約束。

織姫と彦星は、1年に1度だけ、
逢うことを楽しみに、真面目に
働くようになった…というお話。

織姫と彦星の関係を恋人同士
だとばかり思っていたのですが、
夫婦だったとは驚きです。

ここではじめて知った
方も多いのでは。

7月7日に降る雨のことを
「催涙雨(さいるいう)」
といいます。

これは、年に一度の機会なのに、
逢うことができず、
二人が流す涙のこと。

過去58年間で
“晴れた7月7日”は約31%。

野球の打者なら、
アベレージヒッターとして
合格点なのですが、
こと七夕となると
3年に一度しか逢えないことに。

ちょうど梅雨の時期と重なるため、
“梅雨の晴れ間”を期待する
しかないようです。

それならば、昔からの習慣という
ことで、8月7日(旧暦の七夕)
とした場合、晴れる確率は約51%。

これなら、二人は2年に一度、
逢えることになります。

日本最大の七夕祭りといわれる
宮城県「仙台七夕祭り」は
8月6〜8日、
秋田県「能代七夕/天空の不夜城」と
埼玉県「狭山市入間川七夕まつり」
は8月3〜4日、
愛知県「安城七夕まつり」は
8月2〜4日、
京都府「京の七夕」は
8月10〜12日など、
旧暦で開催される地域が多くある
のもうなずけます。

七夕の夜空に輝くベガとアルタイル。天の川は見えますか。

さて、実際に、
七夕の時期に夜空を見上げると、
“こと座のベガ(織姫星)”、
“わし座のアルタイル(彦星)”、
ここに“はくちょう座のデネブ”が
加わって、ひと際明るい3つの星、
「夏の大三角」を見つける
ことができます。

ベガ(織姫星)とアルタイル(彦星)
の距離は、約14〜15光年。

光の速度で移動して
約14〜15年かかるということ。

こうなると、ロマンチックなどとは、
ほど遠い距離といえます。

家庭では、短冊に願い事を書いて
笹の葉に飾るのが
一般的な七夕の風景です。

七夕は、
別名“棚幡(たなばた)”と書きます。

旧暦のお盆は7月15日で、
7月7日は、お盆の準備のために、
ご先祖様を迎える
「精霊棚(しょうりょうたな)」
を設けて、幡を立てる風習が
一般的でした。

また、七夕は五節句のひとつ
でもあり、それぞれの節句に、
邪気を払うために飲むお酒が
決まっていました。

7月7日は「一夜酒」、
つまりアルコールの入っていない
甘酒を飲んだとされます。

夏場の酒は、いまと違って
保存状態が良くなかったこともあり、
甘酒で夏バテした身体への滋養強壮を
補う役割を果たしていたようです。

冷蔵技術が進んだ現在は、夏場でも
美味しい日本酒が数多くあります。

「スパークリング純米大吟醸酒
天使の吐息」や「にごり梅冷酒」
などサッパリ系をはじめ、
「純米原酒」や「樽酒」、
「シェリー樽貯蔵 大吟醸酒」など、
冷やして旨いお酒も盛りだくさん。

 

夜空を見上げながら、
ロマンチックな思いに更ける
七夕の夜。

今年は、晴れるといいですね。