
言葉を通して人生を紡ぎ直す物語。そこに散りばめられた人の温かさ。
いよいよお待ちかねの2025冬の限定「可惜夜(あたらよ)」の登場です。“魅せる菊正宗”をコンセプトに、酒質をはじめ、精米歩合、日本酒度、甘辛度など、すべて“謎”のミステリアスなお酒「可惜夜」が登場したのは2017年冬のこと。今年で9年目を迎える「可惜夜」が公表しているのは“嘉納会特A地区産の山田錦を100%使用”ということだけです。“明けるのが惜しいほど、美しい夜”という意味の「可惜夜」。この名に込められた思いは、月の光に照らされた静かな夜の風情をこよなく楽しめ、飲むたびに心を照らすような余韻を残します。

この言葉が印象的に登場したのが、NHKドラマ「舟を編む〜私、辞書つくります〜」。辞書編纂を通して、挫折から再生へと歩み出す人々を描くヒューマンドラマ。原作は直木賞作家・三浦しをんの小説です。昨年NHK BSで人気だったドラマを地上波で再放送したのが今年の夏。12年前公開の映画版の流れを汲みつつ新たな解釈で綴られた作品でもあります。一見地味にも思える辞書編集という仕事を舞台に、言葉と誠実に向き合う人々の情熱を、細やかな筆致で映し出しました。

ハッと気づかされる台詞も多く、そんな言葉のやり取りに共感を得た視聴者も少なくありません。見逃した方はNHKオンデマンドで視聴可能なので、人生にお疲れの方は心の栄養補給に、ぜひご覧あれ。
大まかなストーリーは、辞書編集部を舞台に挫折から自己と向き合い自分を取り戻すお話です。主人公の岸辺みどりは、かつてファッション誌で活躍していたモデル出身の編集者。けれどSNSでの炎上をきっかけに、自信を失います。そんな彼女が異動した先は、まったく畑違いの辞書編集部で、最初は“左遷?”と戸惑い気味。華やかさとは無縁の職場で、みどりは次第に言葉と向き合う日々を通して自分を取り戻していきます。作中で印象的なのが、みどりの“ちゃんと間違えないと、ちゃんとは学べないんですね”というひと言。

間違いに気づき、見直し、修正する作業の積み重ねが辞書づくりの基本です。実直なまでの失敗を積み重ねながら成長していく姿に共感する視聴者も多かったはず。また、彼女が口にする言葉は、時に新鮮で、時に斬新。素朴な視点で発せられる言葉は、編集スタッフをも巻き込んでドラマが進む中、彼女ばかりでなく、編集部全体の成長を実感できる脚本は秀逸です。
そんな温かな物語の中で、クリスマスイブを楽しむ編集スタッフの笑顔のシーンが月を映した夜空に切り替わり、そこに浮かび上がる「あたらよ【〈可惜〉夜】明けるのが惜しい、すばらしい夜。」という辞書の一節。

このシーンは、静かな幸福の象徴のようでした。“明けるのが惜しいほどの夜”それは、誰かと過ごす時間の尊さを語る言葉です。
「可惜夜」という名を冠した日本酒もまた、明けるのが惜しい時間に寄り添ってくれる存在です。月が冴えわたるしんと静かな夜に、そっと杯を傾けながら、心を解きほぐす余韻が広がります。明けるのが惜しいほど、美しい夜に。
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