日本酒の旨さを支えているのは、国に守られた“カビの仲間”。

醗酵食品と醗酵飲料の相性が生み出すマリアージュ。

最近、チーズがブームのようです。

2018年は、若い女性層が
チーズタッカルビや
スイス原産ラクレットチーズを使った
料理を出すお店に足しげく通い、
コンビニのチーズスイーツに
人気が集まるなど、チーズの話題が
メディアでよく取り上げられました。

2019年も、シカゴピザやパネチキン、
チーズティーなど、“映える”
新しいチーズ料理が続々登場し、
女性を中心としたチーズ人気は、
しばらく続きそうな気配です。

日本のチーズ消費が
爆発的に高まったのは、
1975年(昭和50年)頃の
ピザが出はじめたあたりから。

グラタンやチーズフォンデュ、
チーズケーキなどの洋食文化の広がり
とともに、チーズは欠かせない食材
として、私たちのくらしの中に
定着していきました。

以前は独特な臭いや味で
敬遠されがちだったブルーチーズも、
美味しいパスタ料理や
相性のいいお手頃なワインが
数多く流通するようになったことで、
市民権を得たといえます。

ワインと料理の相性をマリアージュ
といいますが、ともに同じ醗酵させた
飲料や食品なので、もともと好相性。

また、チーズのタンパク質が
ワインのタンニンと結びついて
ワインの渋みをまろやかにしたり、
チーズ独特の刺激臭を
ワインの甘みが緩和したり、
チーズの乳成分が舌に膜をつくり、
ワインの渋みや酸味を
マイルドにするともいわれています。

ワインと同じ醸造酒である日本酒
ですが、実はチーズとの相性は抜群。

日本酒のアミノ酸による旨み成分が、
クセの強いチーズとうまくマッチして
美味しさの相乗効果を高めます。

海外のチーズ愛好家にも、日本酒との
相性を高く評価する向きがあります。

日本酒とチーズのマリアージュの一例
ですが、クセの強いブルーチーズに
合うのは「超特撰 生酛大吟醸酒」。

クセをうまく調和させてバランスの
良い旨みを醸してくれます。

マイルドな味わいの
モッツァレラチーズには、発泡系の
「スパークリング純米大吟醸酒
天使の吐息」。

菊正宗 天使の吐息

スッキリとした爽やかな味わいが
口に広がります。

「嘉宝蔵 灘の生一本 生酛純米酒」
には、ハードタイプのチーズ。

旨みとコクの絶妙なバランスが
楽しめます。

チーズは、乳酸菌や酵素、カビなどの
微生物の働きによる熟成工程で
乳タンパクや脂肪を分解し、それぞれ
のチーズの個性を引き出します。

また、個性的な特徴を生み出すため
に、カビを使ったチーズがあります。

青カビを使った独特な臭いとピリピリ
とした刺激的な食感のブルーチーズ、
白カビを使ったクリーミーで
まろやかなカマンベールチーズや
ブリーチーズがその代表格。

“カビ=有毒”と思われがちですが、
ほとんどの青カビ
(白カビも青カビの一種)は無毒。

むしろ抗生物質のペニシリン製造に
有用な微生物なのですが、
一部のカビ毒「マイコトキシン」を
持つものが重篤な食中毒の原因
となるため、そこばかりが目立って
いる残念な微生物といえます。

日本酒に欠かせない“黄麹菌”は、国菌に認定。

日本酒に使われる麹菌も
カビの仲間です。

ヒマラヤ地域と東南アジアを含む
東アジア圏には、特有の
醗酵文化が根付いています。

なかでも、微生物の繁殖に適した
高温多湿な日本は、日本酒などの
醗酵食品の長い歴史を育む土地柄。

日本酒だけでなく、
味噌、醤油、みりん、酢などの
醗酵に欠かせない黄麹をはじめ、
泡盛に使われる黒麹、
焼酎に使われる白麹は
国菌に認定され、
大切に守られています。

醗酵食品に馴染みの薄い
一部の欧米地域では、
カビなどの微生物による醗酵食品
への拒絶反応があるようです。

実は、人にとって有益なものであれば
“醗酵”、有害なものになれば“腐敗”、
両者のメカニズムは
同じものなのです。

1960年のイギリスで、
カビの生えた輸入エサが原因で
七面鳥が大量に死ぬ
という事件が発生。

麹菌の仲間によるカビ毒
「アフラトキシン」が原因でしたが、
その形態が黄麹菌と類似しており、
誤解を招くこととなりました。

もちろん、
黄麹菌はカビ毒を発生させません。

こうした麹菌の謎を解明するために、
2001年に麹菌の
全ゲノム解読プロジェクトが発足。

2005年には、麹菌が約3800万塩基対
からなる8本の染色体を持ち、微生物
では最大の約1万2000個の遺伝子が
存在することが判明しました。

この成果に基づいて、
麹菌196株に対して、
カビ毒「アフラトキシン」を発生
させる遺伝子の解析を実施。

半数近くの麹菌で遺伝子群が不安定、
残りの半数についても、
カビ毒「アフラトキシン」の遺伝子を
有しているものの、その機能を失って
いるという結果にたどり着きました。

科学的な解析により、
その安全性が証明された黄麹菌。

今後、科学の“目”は、
日本酒の旨さをさまざまな角度から
ひも解くことになるでしょう。

その高水準の学術的な研究に
驚くのはもちろんですが、
科学のない時代に生まれた
微生物の活用方法に、
拍手を贈りたいものです。

日本酒の深い味わいを醸す、水の存在感。

宇宙で発見された“水の気配”が、人々を宇宙へと駆り立てる。

1957年、ソ連(現ロシア)が
世界初の人工衛星
「スプートニク1号」
の打ち上げに成功。

人類の夢は宇宙へと、
その第一歩を踏み出しました。

そして、全世界を熱狂の渦に
巻き込んだ1969年(昭和44年)
のアポロ11号による
人類初の月面着陸から50年、
再び、宇宙開発の話題が
世間を賑わせています。

中国の無人探査機が
世界で初めて月の裏側に着陸し、
日本でも探査機「はやぶさ」が
小惑星イトカワの表面物質の採取
に成功した快挙に続いて、
小惑星リュウグウへの
着陸計画のまっただ中。

地上と宇宙をつなぐ夢の
「宇宙エレベーター」計画も、
現実味をおびた話になってきました。

「宇宙エレベーター」の仕組み
そのものは簡単な構造です。

赤道上空の高度
約3万6000キロメートルに
打ち上げられ、地球と同じスピード
で周回する人工衛星を、地上からは
止まっているように見えるため
「静止衛星」と呼びます。

この静止衛星から地上に向けて
ワイヤーをたらして
伸ばしていきます。

地球に向けたワイヤーの重さで
静止衛星が落下するのを防ぐため、
地上に向けたワイヤーと
地球と逆方向に向けたワイヤーに
よって全体の重力が
上手く釣り合うように延伸。

これにより静止衛星を中心とした
地球と宇宙を結ぶ軌道が誕生します。

このケーブルに昇降機を取り付け、
人や物資を輸送できるようにしたもの
が宇宙エレベーターです。

日本で強度と耐久性を兼ね備えた
「カーボンナノチューブ」という
新素材の開発に成功したことが、
計画を一歩進めたといえるでしょう。

月への着陸が叶った今、
次にめざすのは火星。

太陽に近い水星、
金星は表面温度が高く、
また木星や土星は表面が
分厚いガスで覆われ、どちらも
地表に降り立つことができません。

これらの惑星とくらべた場合、火星の
環境がもっとも地球に近いとのこと。

とはいえ、火星の厳しい自然環境を
限りなく再現したとして話題
となった、2015年公開のアメリカ映画
「オデッセイ」を見る限り、
空気も水もなく、昼夜の温度差が激しい
荒廃した火星には、
地球とはくらべものにならない
過酷さが立ちふさがっています。

そんな中、昨年8月に火星の
新たな話題が飛び込んできました。

欧州宇宙機関の研究チームが、
火星の軌道を周回する探査機
「マーズエクスプレス」の
観測データから、火星の南極の地下
に幅20kmにわたって“液体の水”
が存在する兆候があることを発表。

また、何かと物議を醸す米大統領が
“私の政権下でNASAが再興し、
我々は再び月に戻る。
その次は、火星だ”
とツイートしたのは、
今年の5月半ばのこと。

“液体の水”らしき存在が、
火星開拓への夢をさらに
一歩近づけたようです。

人類の生命維持に必要な空気は
もちろんですが、大切なのは“水”。

さまざまな生命の進化をいざなった
のは、水に由来する
ともいわれています。

私たちは、地球が、“水の惑星”
と呼ばれるほど、水に満ちあふれて
いることに感謝しないといけない
のかも知れません。

人類にとって“水”は、
命の源といえます。

“名水あるところに銘酒あり”という事実。

日本酒にとっての“水”も、決して
欠かすことのできないものです。

米と米麹を原料としていますが、
水が重要な原料であることは、
いわずと知れた事実です。

酒造りにおいて、“種水”とも
称される、直接、日本酒の原料
となる醸造用の「仕込み水」のほか、
米を洗う水、米を浸ける水、
酒母に使う水、
できあがった酒のアルコール度数
を調整するために使う割り水
などが、醸造に直接かかわる水です。

このほか、酒瓶の洗浄用の水、
釜や桶などを洗浄する水、
道具を熱湯殺菌する水、
酒蔵内を清潔に保つ清掃用の水
などの雑用水も含めると、
使用する水の量は白米重量の
30〜50倍にもなります。

昔から、酒蔵を構える際の
条件のひとつが、酒造りに
適した湧き水が近くにあるかどうか。

幸い、日本には仕込み用の湧き水に
恵まれた土地がたくさんあり、
優良な水脈の上に蔵が建っている
例も少なくありません。

日本酒造りには、酵母の栄養源
となって醗酵を促すミネラル
(カリウム、マグネシウム、リン
など)を豊富に含んでいる水
が適しています。

ただ、水に含まれるミネラル成分が
少なくても、米からうまく溶かし出し
さえすれば、ミネラルは足ります。

「灘の男酒、伏見の女酒」という言葉
は、“灘の水(宮水)は比較的硬度が
高く醗酵が進みやすいので、
後味の引き締まった味になる”
“伏見の水(御香水/ごこうすい)は
軟水なので醗酵がおだやかで、
まろやかな味になる”という
仕込み水の硬度の違いによる
“二大酒どころ”の特徴を
言い表したものです。

ちなみに、市販されている
ミネラルウォーターの硬度は
通常30〜40程度。

宮水の硬度は180と、かなり高め。

一方、御香水の硬度は40程度です。

しかし、日本中に点在する“旨い”と
される日本酒の仕込み水の硬度は、
20を切る軟水から
200を超える硬水までさまざま。

その水を使う蔵元が、それぞれの
硬度に適した特徴的な酒造りに
励んでいる賜物といえます。

国土交通省の発表によると、
世界で安心して水道水が飲める国
はわずか15カ国のみ。

そこに含まれる日本は、
世界屈指の水が美味しい国です。

それは厳しい基準によって
水が管理されているからです。

日本酒の仕込み水については、
水道水以上にさらに厳しい
条件が求められます。

とくに鉄やマンガン、銅は、
酒質の劣化を招きかねません。

ごく微量でも混入すると、
酒は黄褐色になり、
味を損なうことになります。

なかでも鉄分はもっとも
厳しい評価対象です。

酒造りの現場において、
さまざまな用途の水だけでなく、
貯蔵するタンクや桶などの道具類
にも、クギなどの鉄分が溶け出す
素材の使用は禁物。

ホーロー加工された鉄製タンクの場合
、ホーローの割れ目から鉄分が
染み出す恐れがあるため、
わずかな傷も見逃さない日々の
チェックは欠かせない日課のひとつ。

1840年(天保11年)に宮水が見つかる
までは、新酒は夏を過ぎると
味が落ちるのが一般的。

ところが、宮水で仕込んだ日本酒は、
適度に熟成が進み、まろやかな味の
「ひやおろし」「秋晴れ」となり、
芳醇な香りを漂わせるように
なったといいます。

これが後の「下り酒」として、
灘酒を江戸に広める
ことになりました。

宮水は鉄分が極めて少なく、
酵母などの増殖に欠かせない
カルシウム、カリウム、
マグネシウム、リンが豊富に含まれ、
また海に近い環境であることも幸い
して、適度に含まれる塩分も
酵母の醗酵に有効な成分です。

宮水は、花崗岩を主とした砂礫層の
岩盤を流れた3つの伏流水が
混じり合い「宮水の井戸場」に到達。

その途中で2つの伏流水は、
かつて海だった地層を通ることで、
類い稀な水質になるのではと
考えられています。

その成分構造は複雑で、
現在の最先端の科学をもってしても、
宮水と同じ水質の再現は
不可能とのことです。

長い歴史の蓄積によって磨かれた
“水”が育んだ私たちの文化。

その中でも、大自然の偶然の恵み
によってもたらされた“旨い酒”は、
人智により、さらに旨さを
増して行きます。

ワインのように、日本酒に“当たり年”ってあるの?

野菜は、ストレスで美味しくなる場合もある。

昭和の昔、子どもたちの多くは、野菜
があまり好きではありませんでした。

その中でも、青臭いトマト、
少し苦みのあるピーマン、
独特な味のニンジンは
苦手野菜の代表格。

そして時を経て4人に1人が
平成生まれとなった現在、
ある種苗会社が野菜の好き嫌い
を調査したところ、
子どもたちの野菜に関する嗜好は
少々変わってきているようです。

2018年の子どもが嫌いな野菜
ランキングは、第1位がゴーヤ、
第2位がセロリ、第3位が春菊、
第4位がピーマンとモロヘイヤ…と、
意外と渋い結果に。

ちなみに好きな野菜のランキングは、
第1位がトマト、第2位がジャガイモ、
第3位がとうもろし。

驚くことに9位にニンジンが
ランクインしています。

子どもが好きな野菜の決め手は、
全般的に“甘み”で、嫌いな野菜は
“苦み”が影響しているようです。

こうした野菜の嗜好が変わってきた
背景には、品種改良によって
食べやすくなったことや、
料理バリエーションの大きな広がり、
豊富な調味料やドレッシングなど、
“美味しく食べるため”の工夫を
見つけることができます。

また、栽培方法でも、
“美味しく食べるため”の研究
が積み重ねられました。

野菜生育時の
「ストレス栽培」なども、
こうした大きな改良のひとつです。

元々、私たちが普段食べている
野菜の多くは海外が原産地。

気候や土壌など、日本の
生育環境との相性が必ずしも
良いという訳ではありません。

そこで、日本向けに改良を重ねた
品種の特性を引き出すために
ストレスを与えることで、
美味しさや収穫量をより
一層向上させるという栽培法です。

夜間の生育温度を低くしたり、
低温で貯蔵する「温度ストレス」や、
海水散布による「塩ストレス」、
水分供給を制限する「水分ストレス」
、“根切り”や“剪定”も
植物にとっては一種のストレス。

野菜の種類や品種によって
ストレス負荷が異なるため、
栽培している品種の適正を
良く知ることが大切です。

トマトへの水分制限をすることで、
植物が自ら持つ成長を促すキッカケ
をつくり、より糖度の高い
“フルーツトマト”を生育するなども、
この栽培法を代表する成果
とされています。

それでは、農産物のひとつである米
や酒米の栽培方法の特性は
どうなっているのでしょうか。

日本酒造りは農業の延長線上に…栽培環境の理解が大事。

酒米の品種改良には少なくとも
10年以上の歳月が必要といわれ、
誕生から約70年にもなる「山田錦」
が、いまだ最高峰を
キープし続けています。

酒米の品種改良そのものが困難
であることは、推して知るべし
といったところでしょう。

一般的に、美味しいお米が育つ
条件は、「昼夜の寒暖差」
「ミネラルを含んだ水」
「水はけの良い肥沃な土壌」、そして
「米に精通した栽培者」とされます。

これが酒米ともなると、
食米より稲穂の背丈が高く、
米粒が大きく重くなるため、
一般米とくらべて稲にかかる負担が
大きく、倒稲しやすいのが実情。

また一般米とくらべて、
酒米の植え付け時期が早く、
収穫が遅い晩生のため、
台風被害を受けやすく、
栽培の難易度は格段に高まります。

さらに大切なのが、気象条件。

以前は長年にわたる経験から、
米の出来具合に合わせて酒造りを
微妙に変えていましたが、
近年は気象条件と醸造適正を
科学的に解明するための研究
が進められています。

同じ品種の酒米であっても気象条件
によってでんぷんを構成する
アミロペクチンの構造に違いが
生まれるのではないかという
仮説に基づいてのこと。

旨い酒を造るために、醸造工程での
蒸米の高い消化性が重要で、
でんぷんを構成するアミロペクチンの
分子構造が大きく影響します。

そこで、人工気象室での何年にも
わたる実験の結果、稲の登熟期
(出穂後の時期)の気温が高くなると
アミロペクチンの側鎖(そくさ/枝)
が長くなり、蒸米が消化されにくく
なることが判明。

アミロペクチンは、ブドウ糖を構成
する分子の鎖が房状に枝分かれした
構造で、この枝(側鎖)が短いほど
消化されやすく、逆に側鎖が長いと
酵素の働きがより一層必要となるため
、消化性が一気に低下します。

さらに、出穂後1ヵ月間の
平均気温が高くなるほど
消化性が低くなることがわかりました。

猛暑の年の米は
硬く醪(もろみ)で溶けにくく、
逆に涼しい年は溶けやすい
という経験則と一致。

つまり、経験の積み重ねで受け継がれ
てきたことが科学により実証
されたことになります。

これにより酒米の登熟期の気温
をもとに、米の消化性を比較的
高い精度で予測できるようになり、
醸造作業をはじめる前の消化性の
予測が、原料米の利用率向上や
品質向上にもつながることになります。

ワインの場合、ブドウ収穫に伴う
「当たり年」というものがあります。

米もその年の気象環境に大きく影響
されますが、「当たり年」
などという表現はなく、
“今年のお酒は美味しくない”など
という消費者の声も聞きません。

天候の影響は、
麹のつくり方などで調整を行い、
それぞれのブランド品質を維持
しているからに他なりません。

日本人の“知恵”と“経験”の
成せる技といえます。

猛暑や台風、大寒波、豪雨など、
異常気象が続く昨今、
気象環境への俊敏で柔軟な対応
がより一層求められる時代。

何気なく飲んでいる日本酒の味が
“いつも通り”と感じている裏には、
深い技術が眠っています。

日本酒の定番ともなった「さけパック」。

菊正宗 ピン 2018

毎年11月1日は、キクマサピンの日。

毎年11月1日は
「キクマサピンの日」です。

これは一般社団法人日本記念日協会
に認定された
レッキとした公式の記念日。

秋が深まって
日本酒が美味しくなる季節、
そして「ピン=1」にかけて、
1が3つ並ぶこの日を
「キクマサピンの日」として
登録したものです。

数字の「1」がピンと呼ばれる
由来をご紹介します。

「ピンからキリまで」
という慣用句があり、
“最上のものから最低のものまで”、
または“最初から最後まで”を
表す表現として使われていますが、
「キクマサピン」はこの最上を
願って命名されました。

ピンは“点”を意味するポルトガル語
「pinta(ピンタ)」が語源と
なってカルタやサイコロの目の
「1」をピンと呼ぶようになり、
転じて“初め”“最上”の意味
として広まりました。

「キリ」は“限り”を意味する「切り」
を語源といわれています。

その意味は、
“終わり”“最低”を表しています。

また、花札の“桐”からというのも
有力な説。

花札には12種類の植物が描かれて
いますが、それぞれに月が
当てはめられ、松は1月、梅は2月
…最後の12月が桐。

最後の月を表す“桐”からきている
ということです。

その他にも、“十字架”を意味する
ポルトガル語「cruz(クルス)」
が転じた語で、「十」の意を持ち、
“終わり”を意味するという
説もあります。

キクマサピンの発売は
1983年(昭和58年)9月にまで
さかのぼります。

当初から紙パックのお酒として
販売していましたが、
翌1984年(昭和59年)1月に
「ピン」の愛称がつけられ、
テレビCMなどを通じて、
お茶の間に浸透していきました。

キクマサピン発売から35年
経った今も、菊正宗の“顔”
となる商品としてロングセラー
を続けている訳は、
その深い味わい。

日常飲みの“ケ”のお酒として、
晩酌に欠かせない定番としての
地位を確立している証といえます。

地球に優しい日本酒業界。

江戸の昔、酒屋の店頭に並んだ
樽から、客が持ち込む陶器製の
通い徳利やひょうたん徳利などに
お酒を入れる量り売りスタイル。

それが明治になり、ガラス瓶が
使われるようになりました。

大正時代には、機械による一升瓶の
大量生産が可能になったことで、
瞬く間にガラス瓶が普及。

それまで地産地消が主とされていた
地酒を、他の地域へと容易に運送
できるようになったのも
ガラス瓶の功績のひとつ。

ガラス瓶は、実に100年以上も
前から現在に至る“日本酒の容器”
として定着することとなりました。

計量単位が変更になった今でも、
720mlを「四合瓶」、1.8Lを
「一升瓶」と呼ぶ習慣は、
長い歴史が物語っているといえます。

この長い歴史の背景には、ガラス瓶が
全国統一の規格であったことと、
酒販店や自治体、回収業者の連携に
よるリターナブル瓶(回収再使用瓶)
ということがあげられます。

とくに日本酒の酒瓶は、
“リユースの優等生”に例えられる
ほど回収率が高く、
この瓶回収の仕組みは
早くから確立していました。

現在でも、約8割が
回収瓶を使用しています。

ところで、1.8L瓶の出荷量は
全体の約3割、その他サイズの瓶が
約2割、紙パックは実に約5割を
担っているのをご存知でしょうか。

それほど紙パックの日本酒は、
家庭に定着しているのです。

紙パックの日本酒が最初に登場した
のは、1960年代後半のこと。

最初に180mlの三角形の紙パックが
登場し、やがて1.8L紙パックと
なりましたが、当初はお酒への
紙の臭い移りや日本酒の液漏れが
あったため、全国的な普及には
至りませんでした。

そこから紙パックの構造の研究
が進み、幾重もの多層構造
となって、問題点が解消され、
一気に紙パックの普及へ。

キクマサピンは発売当初から
5層構造で、美味しさをキープ
しています。

紙パックのお酒とはいえ、
侮るなかれ。

35年のロングセラー
「キクマサピン」の深い味わいは、
長い歴史の中で、より一層磨き
をかけ、菊正宗の主力商品として
やがて訪れる50周年、100周年を
見据えています。

11月1日はキクマサピンを
お試しあれ。

菊正宗 ピンパック900ML 

秋ならではの醍醐味「きもとひやおろし」。

きもとひやおろし本醸造

 

待ちに待った
“ひやおろし”の季節到来。

日本酒ファンの密かな楽しみ
のひとつとされているのが、
秋に発売される「ひやおろし」です。

“秋あがり”“秋晴れ”と称されることも
ある“ひやおろし”は、冬から春に
かけて仕込んだ酒を搾って火入れ
(約60〜65℃に加熱殺菌)を行い、
夏の暑い時期に、ひんやりとした
涼しい酒蔵でゆっくりと熟成。

夏の暑さが和らぎ、外気と蔵の
温度が同じになった頃合いの
秋に出荷されるお酒といえます。

灘酒は“男酒”ともいわれ、春先の新酒
に感じるダイナミックな荒々しい
味わいや華やかな香りが特徴のひとつ
ですが、ひと夏を越え、約半年間の
熟成によって香味が整い、味わいが
丸くなり、酒質が格段に向上したもの
が“ひやおろし”として出荷されます。

日本酒は通常、品質を変化させる
酵母や酵素の働きを止め、
酒質劣化の原因となる火落ち菌を
死滅させるため、搾った直後と
出荷前に2回の火入れという
加熱処理を行います。

火入れをすることで、お酒の
味や香りが落ち着き安定します。

“ひやおろし”は、出荷前の2度目の
火入れを行わない「生詰め酒」。

火入れを1回しか行っていないため、
ゆるやかな熟成が魅力のお酒
といえます。

手前味噌となりますが、
菊正宗の“ひやおろし”の魅力は、
繊細に広がる味と香り。

昔ながらの手間ひまをかけて
手塩にかけて育てた旨味が冴える
「生酛(きもと)」が成せる技。

生酛ならではの繊細で深い味わいが
熟成によってさらに旨味を増し、
食べ物が美味しくなる
これからの季節の食材との相性も
抜群の円熟味を醸し出します。

この味わいに
菊正宗“ひやおろし”ファンは
酔いしれ、この時期のみの限定出荷
という希少性も相まって、
毎年この時期を心待ちされている
との声を耳にします。

ちなみに、“ひやおろし”は、
漢字で“冷卸し”と書き、
“冷や(常温)”で貯蔵し、
秋に卸すため、この名が
つけられたといわれています。

 

きもとひやおろし大吟醸

“ひやおろし”と火入れの関係。

“ひやおろし”に大きく関わっている
のは火入れの工程です。

2回目となる出荷前の火入れを
行わないため、ゆるやかな瓶内熟成
による微妙な酒質の変化を楽しめる
のも「生詰め酒」ならでは
の醍醐味です。

“ひやおろし”ファンなかには、
発売と同時にまとめ買いをされ、
数ヶ月をかけて、
味の変化を楽しまれる
“ひやおろし通”の方もちらほら。

酒質を左右する火入れについては、
奈良・興福寺の僧侶が遺した
「多聞院日記」の記述に
残されています。

多聞院日記は1478年の戦国時代から
1618年の江戸初期までの140年間
にわたって記されたもので、1560年に
「酒を煮させて樽に入れ了(おわ)る、
初どなり」という記述から
醸造工程において火入れが
行われていた当時の様子が伺えます。

「多聞院日記」から
約300年の時を経た明治初期。

東京帝国大学(現・東京大学)に
招かれた英国人化学者
ロバート・ウィリアム・アトキンソン
が「日本醸酒編」という著書で
“300年前にいったん酒液を熱して
幾と耐うべからざるに至らしめ、
もってこれを予防するの法を発見”
と、驚きとともに記しています。

これは、彼が来日していた明治当時、
ヨーロッパにおいてフランスの
細菌学者パスツールが、低温殺菌法
というワインの腐食防止技術を
発表したばかり頃。

それと同じ理論の火入れが
約300年前から日本酒醸造の技法
として取り入れられていた
のだから驚くのは当たり前。

日本酒は、長い経験による知恵の中で、
貯蔵・熟成の高度な技術を確立
していった世界に誇る類い稀な飲み物
といっても過言ではありません。

ボジョレー・ヌーヴォーほど
厳格なものではありませんが、
“ひやおろし”の解禁日は、
毎年9月9日の重陽の節句。

解禁日から約1ヶ月を過ぎた現在、
残りもわずかとなりました。

 

きもとひやおろし飲み比べセット

 

菊正宗では、“ひやおろし”ファンの
ご要望にお応えするため、
「“ひやおろし”の大吟醸と本醸造の
飲みくらべセット」や、
「“ひやおろし”と選りすぐりの
酒の肴セット」、「“ひやおろし”と
2回の火入れを行った飲みくらべ
セット」など、いろいろ楽しめる
セットを多数ご用意しております。

数量限定出荷の商品なので、
売り切れる前に、ぜひご自身の口で
お確かめください。

きもとひやおろし体感セット