“○○梅”と名前のつく梅の品種が、年中多彩。
今年の桜は平年よりもかなり早く、
1953年(昭和28年)の
桜の開花観測の統計開始以来、
観測史上もっとも早い
開花を記録した地域も続出。
3月11日に広島での開花を皮切りに、
翌日以降、福岡、長崎、松江、東京
と続きました。
この早い開花ペースは、
年末から1月前半にかけて
度々訪れた強い寒気の影響で、
桜の開花を促す花芽の休眠打破が
しっかり行われたことと、
1月後半あたりからの
高温傾向により、
つぼみの生長が促された
と考えられます。
まだ4月初旬時点で開花していない
東北北部地域から北海道にかけても、
例年にない早めの桜が
楽しめそうです。
桜満開のこの時期ですが、
梅の話題をひとつ。
梅の花の見頃は、品種によって
咲く時期に差がありますが、
2月中旬から3月上旬には
多くの品種が咲き誇ります。
その後、木に実った青梅の収穫と
販売時期はほぼ同じ。
収穫後すぐに選定の後、
市場へと出荷されます。
早いものは5月中旬頃から
市場に出回りはじめ、
6月に最盛期を迎え、
7月を過ぎたあたりで
そのシーズンを終えます。
ちょうどこの時期の雨によって
梅の実が熟しはじめることから、
“梅”の字をあてて
“梅雨”と呼ぶようになりました。
この時期の青梅を使って
「梅酒」をつくられるご家庭も
多いと思いますが、
「梅酒」を漬け込む時期も、
やはり収穫、販売と同じタイミング。
というのも、青梅を常温で
数日置いているだけで
黄色く熟しはじめるからです。
そして飲み頃はというと、
さっぱりとした梅酒ならば
約3カ月後、
コクのある深い味わいを
楽しみたいのであれば、
熟成しはじめる半年から1年ものが
オススメといえます。
俳句の季語を見てみると、
梅の花見は初春の2月中頃、
青梅は仲夏の6月、
梅酒は晩夏の7月の季語です。
これ以外にも、1年を通して
梅の品種や梅を使った味覚など、
盛りだくさん。
- 1月
- 臘梅
(ろうばい/中国原産の落葉樹で、
12月から翌2月にかけて
半透明でにぶいツヤのある
黄色く香り高い花を咲かせる) - 早梅(そうばい/早咲きの梅)
- 臘梅
- 5月
- 利休梅(りきゅうばい/
千利休の命日に咲くとされる
中国原産の落葉樹)
- 利休梅(りきゅうばい/
- 6月
- 小梅(こうめ/
実が小振りな梅の品種)、
5・6・7月は梅干し
- 小梅(こうめ/
- 9月
- 八朔梅(はっさくばい/
旧暦の八朔(8月1日・新暦9月)
の頃に咲きはじめる)
- 八朔梅(はっさくばい/
- 12月
- 冬至梅(とうじばい/
白い一重咲きの早咲き品種。
お正月用の梅として重宝される)
- 冬至梅(とうじばい/
奈良時代の花見は梅が主流で、
江戸時代も通が行う花見は、
もっぱら梅見だったようです。
日本人の心を癒す花として
桜は欠かすことはできませんが、
梅もまた私たちの生活の中に
溶け込んでいます。
失敗しない「梅酒」づくり。材料の分量配分がポイント。
桜と比べて、普段、
注目を浴びる機会の少ない梅は
魅力溢れる
日本が誇る植物のひとつです。
それを再認識していただくためにも、
6月からはじまる「梅酒」づくりに
失敗しないためのポイントを、
コラムで数回取り上げたいと
思います。
今回は、用意する材料についての
紹介から。
材料の分量配分は、
各ご家庭や地域によってさまざま。
一般的に多く見られるのが、
“梅1kg:ホワイトリカー
(焼酎/35%)1.8ℓ:砂糖1kg”
という分量配分で、
これが一番失敗しない比率
だといわれています。
ただし、この比率だと、
結構甘い仕上がりになるので、
甘いのが苦手な方は、
砂糖の分量を減らす
調整が必要です。
最低でも500gは入れないと
梅のエキスが十分に抽出されず、
酸っぱさばかりが際立つことに
なるのでご注意を。
また、家庭で漬け込んだ「梅酒」を
長期保存する場合に、
直射日光を絶対に避けるということ
に気をつけてください。
というのも、
外気温以上の温度変化を
「梅酒」に与えてしまうこと
になるからです。
保存にあたっては、一般的に
冷暗所での保管管理というのが
定説となっていますが、
外気温と同じ常温で、
自然の移り変わりとともに
熟成させるという考え方もあり、
それも理に適った保存管理の方法
といわれています。
年数を重ねるごとに、
熟成が進むとともに
保存管理が難しくなるため、
遅くとも2から3年で飲み切ること
が賢明のようです。
「梅酒」づくりのシーズンが
訪れるまで、あと2カ月ほど。
来週から「梅酒」用のお酒や
青梅の種類や選び方、
道具の準備などを紹介する予定です。
お見逃しなく。