「土用の丑の日」に欠かせないウナギ。相性の良い樽酒と一緒にどうぞ。

“関東の背開き、関西の腹開き”…ウナギの割き方が異なる訳。

今年の「土用の丑の日」は
7月21日(火)、
ウナギが店頭に並ぶ時期
となりました。

“関東の背開き、関西の腹開き”
といわれるように、
ウナギの割き方は
東西で異なります。

“江戸は武家社会なので
切腹をイメージする腹開きは
武士に嫌われたため背開きに、
一方、上方は商人の町なので、
嘘偽りのないことをたとえて
腹を割って話すという意味で、
腹開きになった”
という説があります。

ところが、関東でも
ほかの魚は腹開きが多く、
ウナギだけ背開き
というのも変な話。

実際には、
蒲焼きの製法の違い
ということが真相のようです。

関東の蒲焼きは、
白焼きしたウナギを一度蒸し、
余分な脂を落とすことで
身をふっくら柔らかくしてから
串を打ちます。

身が厚い背から串を打たないと
柔らか過ぎて身が割れてしまうので、
身の厚い背が外側にくるように
背開きにするということです。

関西は蒸す作業がないので、
腹開きでも身崩れすることなく
串が打てるということ。

背開きは、
江戸時代のウナギ職人が編み出した
料理技法といえます。

一般的に、
“腹開きは、煮物や焼き物などで
内臓を取り出したい場合”、
“背開きは、天ぷらや干物のように
熱を素早く圴一に入れたい場合”
の開き方とされていますが、
地域ごとに異なる場合も
あるようです。

さて、梅雨が明けるか明けないか
のこの時期、最初に
“夏”を実感する歳時が
「土用の丑の日」です。

“土用”とはそもそも、
二十四節気の四立
(立春、立夏、立秋、立冬)
の直前の18日間
(または19日間)のことで、
中国の陰陽五行説で説く
万物の根源とされ
る五行“木火土金水”を
四季にあてはめ、
あまった“土”を
各節気の直前に割り当てたもの。

いわば、この“土用”が緩衝となって
季節が穏やかに移り行きます。

なかでも、
“夏の土用(立秋直前)”は
梅雨明けと重なることが多く、
農作業との結びつきが強く重要視され
、“土用”といえば、“夏の土用”
を指すことが多くなりました。

古くから、夏の「土用の丑の日」に
瓜や梅干し、ウナギ、うどんなど、
“う”のつく食べ物を食べると
夏バテしないとされていました。

食材によって効能は異なりますが、
食欲増進や胃腸を守る、
消化促進、体力増進など、
田植えを終え疲労がたまるとともに、
食欲が細る夏場の民間療法として
伝わっていたものです。

それを元に、江戸末期、
エレキテルで有名な学者・平賀源内が、
ウナギ需要が落ちる夏場の対策として、
「土用の丑の日」に
ウナギを食べることを広め、
いまなお、その習慣は夏の歳時として
しっかりと根付いています。

 

今年の“シラスウナギ”の漁獲量は、近年まれに見る豊漁。

天然ウナギの本来の旬は、
秋から冬にかけて一番脂がのる時期、
とくに水が冷たくなりはじめる頃。

江戸の昔、
「土用の丑の日」に食べるウナギは
脂がのりはじめる前なので、
冬眠明けで脂がほとんどのらず、
身もパサパサだったのかもしれません。

現在、市場に出回っている
ウナギの約99%以上は養殖もので、
天然うなぎは、わずか1%未満。

養殖ウナギは、
1年でもっとも需要が高まる
「土用の丑の日」をピークに
育てているため、
養殖ウナギの旬は
6月から8月とされています。

とはいえ、徹底した温度管理による
ビニールハウスの安定した環境で
育てられているので、
季節による味の違いは
さほど感じることはないようです。

ウナギの養殖は、
太平洋を回遊した後、
河川を遡上する
天然の“シラスウナギ(稚魚)”を
捕獲し、成長させて出荷する
“半天然・半養殖”という養殖方法です。

養殖種苗となる
“シラスウナギ”の漁獲量は、
1970年代を境に大きく減少。

ピーク時に
200トンを越えていたものが、
2019年度は約3.7トン
(水産庁算出)にまで落ち込み、
このまま不漁が続くと
「土用の丑の日」に
ウナギを食べる習慣がなくなるのでは
と懸念されていましたが、
今年はまれに見る豊漁
(17.1トン/5月現在)。

以前に“シラスウナギ”の
採捕不漁が続いたことから、
2015年(平成27年)に
ウナギ資源の管理・保護を考慮して、
池入上限総量を21.7トンに
定めていたため、
池入量が上限に達した県は
4月上旬で、今漁期の
“シラスウナギ”の採捕を
終了したとのことです。

今年は、昨年よりややお安く
ウナギが食べられそうです。

ウナギと「樽酒」の相性は抜群なので、
夏バテ防止にお試しください。