消費税増税と背中合わせの「インボイス制度」。

クレジット購入の「領収書」は、領収書ではなかった。

クレジットカード払いで
商品を購入した場合、
基本的に領収書が発行されない
ということをご存知でしょうか。

厳密には、クレジットカードでの
販売は“信用取引”にあたり、
クレジットでの決済を行う時点では、
購入者は支払いを完了しておらず、
お店側も代金を受け取っていません。

領収書は代金を受領したことを
証明する書類なので、
この時点で発行する義務は
お店側にはないという訳です。

実店舗でのクレジット購入の場合に、
頼めば領収書を発行してくれる
ケースもあります。

これは、あくまでお店側のサービス
として行われるもので、
ここで発行される表題が「領収書」
であったとしても、
税法上は領収書とはみなされず、
“クレジットカードにてお支払い”
と明記されます。

そのため、5万円以上の支払いでも、
収入印紙を貼る必要はありません。

個人事業主やフリーランスの方が
クレジット払いをして、
税法上認められる領収書が
必要な場合は、お店側が発行する
「利用伝票」を領収書の代わり
として使用することができます。

ただし、その「利用伝票」には
次のことが明記されている
必要があります。
● 販売店の名前
(書類の作成者の名称)
● 商品やサービスを
購入した年月日
● 購入した商品やサービスの内容
● 購入金額
● 宛名
(書類を発行される者の名称)
この項目が記載されている
のであれば、
「利用伝票」でなく、
「レシート」でも、
領収書の代わりとなります。

…というのが、現在までの
「領収書」の規定でした。

消費税増税に並走する「インボイス制度」で、領収書が変わる。

ところが、10月1日からの
新消費税の施行に伴って、
その背景で大きな税制改正が
行われていることは、
一部を除いて、
あまり知られていません。

インボイス制度とも呼ばれる
「適格請求書保存方式」の施行
がそれで、新消費税10%と
据え置きの軽減税率が導入されること
で複数の税率が混在することによる
さまざまな混乱が予測されるため、
取引そのものの内容を明確にし、
軽減税率を悪用した不正防止
を目的としています。

インボイスは、広く
“送り状、納品書、請求書”を
意味しますが、
「適格請求書保存方式」
におけるインボイスとは、
請求書や領収書を指します。

現在使われている請求書との違いは、
明細ごとの適用税率、消費税額の
記載が義務づけられます。

また現在の請求書には発行義務は
ありませんが、インボイスには
課税事業者に対する交付義務があり、
不正交付に対する罰則規定も
定められるということです。

「適格請求書保存方式」は、
「区分記載請求書等方式」
という経過措置を経て、
2023年(令和5年)10月から
本格実施が予定されています。

経過措置となる
「区分記載請求書等方式」では、
現在の領収書記載内容に加えて、
次の項目の記載が必要となります。

● 軽減税率の対象品目である旨
(「※」印をつける等の方法により明記可)
● 税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)

さらに「適格請求書保存方式」
が施行されると
「区分記載請求書等方式」
の記載内容に加えて、
次の項目の記載が必要となります。

●税率ごとに区分して合計した対価の額
(税抜または税込)および適用税率
●税率ごとに区分して合計した
消費税額等
(消費税額・地方消費税額の合計額)
●適格請求書発行事業者の登録番号

こうした領収書(請求書を含む)を
発行する側であるフリーランスや
法人格を持たない飲食、小売りなどの
個人商店は、この
「適格請求書保存方式」による
次のような影響が
少なからず出ると思われます。

まず、免税事業者、課税事業者
のいずれかの選択を余儀なくされ、
そして、多くの免税業者は、
経過措置となる
「区分記載請求書等方式」施行期間に
課税事業者への申請を
行うことになります。

さらに次のようなことへの
配慮が必要です。

● 年間売上1000万円以下の事業者
にも、消費税の納税義務が発生
(これまでは消費税が免除)
● 税率別に区分した記帳負担の増大
(請求書、領収書に
2つの税率に分けた記載が必要で、
帳簿記載にも税率を区分した
記帳による保存が原則)
● 課税業者は免税業者との
取引継続が困難に
(課税業者は取引先の選別
をせざるを得なくなる)

少し難しい税制改正ですが、
とくに領収書を経費として取り扱う
個人事業主の方にとっては、知らない
と大変なことになる内容です。

あとで困らないように、
経過措置の期間に、
深く勉強をしておくに
越したことはありません。