今年の「中秋の名月」は、10月1日。2020年は、少し遅め。

1年に何度かある満月の中で、「中秋の名月」が注目される理由。

一度くらいは、
“なぜ、あんなに大きな月が、
夜空に浮かんでいるのだろうか”
と考えたことはありませんか。

月だけでなく数多くの宇宙の謎は
科学的に解明されているとはいえ、
大きな月が夜空に輝いている姿は、
理屈抜きに不思議な感じがします。

この感覚は
“金属の塊が空を飛ぶ”
“鉄の塊が水に浮く”という
飛行機や大型船舶を見て、
ふと感じる疑問に似ています。

科学的な解明が進んだ
現代にあっても、そんな疑問が
頭をよぎるのですから、
まったく科学の知識がない
太古の昔であれば、
なおさら神聖なものに映り、
月の色がいつもとは違ったり、
大きく観えたりすると、
“月が落ちてくる
予兆かもしれない”
と考えられていたとしても
不思議ではありません。

さて、そんな月が一年で
一番注目されるのが
「中秋の名月(十五夜)」で、
今年は、10月1日(木)です。

「中秋の名月」
についておさらいを少し。

月が満ちて欠けるまでを
1周期とした時、
新月の日を1日目としたときの
ちょうど真ん中の15日目が
十五夜で「中秋」です。

今年の満月は
10月2日6時05分なので、
“中秋の名月”であって
“中秋の満月”ではありません。

2021年から2023年が
「中秋の名月」と
満月の日が一致、
それ以降の年は、
満月が1〜2日遅れて
やってきます。

旧暦では7〜9月が秋とされ、
その3ヵ月間のちょうど真ん中の
8月15日が「中秋」なので、
月の満ち欠けに関係なく、
“旧暦8月15日の月”
ということです。

「仲秋」と書く場合は、
「7月(初秋)、
8月(仲秋)、
9月(晩秋)」の
8月の別称である仲秋を指し、
本来は“仲秋の名月”
とはいいません。

なお、「中秋の名月」は、
9月7日から10月8日に訪れ、
今年は少し遅いようです。

一年を通して月は見えますが、
夏の月の軌道は低く、
逆に冬の軌道は高すぎるため、
ちょうど見上げるのに
適した高さが春と秋。

“春霞”“秋晴れ”
の言葉でわかるように、
天気の優れない春よりは
天気の良い日が多い秋の月見が
季節行事として
定着したとされています。

「中秋の名月」の行事、
かつては高い位の貴族達の間で
行われていた風習が、
江戸時代になって
庶民の間に広まり、
一般的な行事へと
転じていきました。

稲の豊作祈願のお祭り説や
古代中国の月を見る行事が
平安時代に伝来した説など、
その起源は諸説あります。

実際には、月に見立てた団子に
すすきをお供えして、
名月観賞の後、月にあやかって
家族で食べるという習わしが
昔ながらの行事スタイルと
されています。

 

最近の月に関する大きな話題は、“スーパームーン”。

ここ最近、
よく見かける月の話題のひとつが
“スーパームーン”。

これは月の軌道が楕円で、
地球への最接近と
満月が重なった時の現象で、
月が最大限に
大きく見えることです。

ちなみに、“スーパームーン”は
占星術由来の言葉で、
正式な天文用語ではありません。

“スーパームーン”の時に
“今夜はストロベリームーン”とか
“最大サイズのピンクムーン”など
表現したニュース報道を耳にします。

これは月がピンクなどの色に
見えるということでなく、
アメリカの農業暦にも採用された
ネイティブアメリカンが使っていた
各月の満月につけられた
名前によるものです。

たとえば、9月は
“ハーベストムーン(収穫月)”や
“コーンムーン(トウモロコシ月)”、
10月は
“ハンターズムーン(狩猟月)”や
“ダイインググラスムーン
(枯れ草月)”など、
各月の満月に名前がつけられ、
1ヵ月に満月が2回ある場合の
2回目の満月を“ブルームーン”
と呼んでいます。

ちなみに、2020年のスーパームーンは
4月8日でした。

逆にもっとも小さい
“マイクロムーン”は
10月31日に見える予定なので、
ぜひ夜空を見上げてみてください。

“スーパームーン”とくらべると
15%ほど小さいとのことで、
意外とその小ささが
新鮮かも知れません。

今年はとくに厳しかった猛暑が
ようやく和らいで、
朝夕に涼しさを
感じるようになりましたが、
まだまだ外出は
控えた方がいいようです。

涼感を肌で感じはじめる
夕方にぴったりの
𤏐酒を用意して、
縁側やベランダで、
盃に月を映した“月見酒”や、
菊の花を浮かべた“菊酒”と
洒落込んでみては
いかがでしょうか。