夏バテ気味の身体にやさしい「そうめん」の季節。薬味で栄養補給を。

「そうめん」の歴史を辿ると、奈良の「三輪そうめん」に辿り着きます。

そろそろ猛暑のピーク時期を
過ぎますが、まだまだ残暑が厳しく、
長く続いた暑さに疲れ切った
身体は夏バテ気味です。

焼肉などでスタミナをつけたいと
思いつつ、疲れた胃は
受け付けてくれない…
ちょうど今、そんな時期といえます。

そんな食欲不振気味の暑い日に
好まれるのは、夏の風物詩とも
いわれる「そうめん」です。

「そうめん」そのものは
淡白な味わいで、それほど高い
栄養価は期待できません。

他の食品と比べると
かなり低カロリーですが、
炭水化物が約7割で、
その多くが糖質。

体内にある有毒物質を無毒化する
働きがある“セレン”、
貧血を予防する効果が期待できる
“モリブデン”などの栄養素が少し
含有される程度なので、
「そうめん」そのものよりも、
付け合わせの薬味の栄養価で滋養を
高めるのが効果的です。

また、癖のある味がアクセントと
なるばかりか、味変によってより
一層、食を進めてくれます。

薬味は、食欲増進が期待できる
香り成分“シネオール”を含む
「生姜」が人気。

辛味成分の“ショウガオール”には
強い殺菌作用があります。

また、独特な香りの「ミョウガ」に
含まれる“アルファピネン”は、
消化促進、血流改善、免疫力向上、
食欲増進などの作用が期待でき、
夏バテ改善にもオススメです。

防腐殺菌効果のある芳香成分
“ペリルアルデビド”“シアニジン”を
含む「大葉」には、βカロテンや
ビタミン群、カルシウムにミネラル類など
数多くの栄養素が
バランス良く含まれています。

疲労回復や肌荒れに効果的な
“ビタミンC”を多く含む「ゆず」は、
果汁より皮の栄養価が高いので、
皮をすり下ろしたり、
千切りに刻んで添えます。

日本の三大「そうめん」といえば、
奈良桜井市の「三輪そうめん」、
兵庫たつの市の「播州そうめん」、
香川小豆島の「小豆島そうめん」で、
このほか東北から九州にかけて
数多くのご当地「そうめん」があります。

かつて灘五郷の魚崎地区でも
「灘そうめん」が栄えましたが、
明治時代後期、都市化とともに衰退。

また、日本の「そうめん」文化を
紐解くと、その源流は、最初に
中国から伝播した「三輪そうめん」に
辿り着くといわれています。

さて、「そうめん」の直径は
規格で1.3mm未満と定められ、
一般に流通しているのは
約1mm前後ですが、
約300年の歴史を持つ
「三輪そうめん」の老舗では
0.3mmと日本一細い「そうめん」を
販売しています。

口に入れた食感が絶品とか。
「そうめん」は、
“手延べ”というだけあって、もともとは
捏ねた粘り気のある生地を長く
伸ばしてつくります。

その工程を繰り返すことで、
細く長い「そうめん」が誕生しますが、
引き延ばす際の上下の棒に
巻きつく丸くカールした端の部分は
切り落とされます。

この端の部分を“ふしめん”
“ばち”と呼び、
流通量が少ないこともあって、
ファンも多いといいます。

太さが均一でないので
噛み応えがあり、
味噌汁に入れるなど、食べ方の
バリエーションも多いようです。

夏バテ気味の食欲がないとき、
氷を浮かべた「そうめん」が一番の
ご馳走といっても過言ではありません。