日本酒の「鏡開き」は、レッキとした神事。

本番に向けた、失敗しない鏡開きの準備。

松の内、成人の日が過ぎ、お正月気分
もぬけたこの時期ともなると、
いつもの普段通りの生活に戻って
おられることと思います。

お正月にどこかへ出かける用事もない
ため、寝正月を決め込み、テレビの
新春バラエティ特番を観ている中、
ふと感じた疑問。

いくつかのバラエティで番組最後に
豪華俳優陣&タレントによる
鏡開きが行われ、
“今年も佳い年でありますように”
と司会者が締めくくるシーンが
画面に映し出されていました。

一般的によく行われている鏡開きの
タイミングは、祝宴最初の乾杯の前。

司会者の誘導に沿って
“よいしょ!よいしょ!よいしょ!”
と参列者が唱和し、
3度目の掛け声で壇上にいる方々が
木槌を振り下ろします。

結婚式などの場合は、司会者の
“ご結婚おめでとうございます”
に合わせて鏡開きを
行うこともあるようです。

では、テレビの特番では、
なぜ最後に行われるのかというと
…鏡開きそのものに“華”があるため、
番組最初の新年の挨拶あたりに
やってしまうと、その後の
コーナーがかすんでしまいます。

そこで、番組の最後に山場を
持ってくる“締め”の役割として、
印象の強い鏡開きを持ってくるという
番組構成が行われているようです。

準備する菰樽(こもだる)の
サイズの目安は、参加者100名様
につき1斗樽(=約18ℓ)。

100名~200名の方が参加する
パーティーだと、2斗樽で十分乾杯
できるお酒は行き渡ります。

200名以上の大規模な場合には
4斗樽をご用意されるのが
良いでしょう。

祝宴が始まる前に菰樽を会場に
運び込み、あらかじめ壇上に
セットしておきます。

その際の注意点は次の通りです。

● 壇上の安定した場所を選び、
銘柄を正面に向けてセッティング。

● 立縄を鏡(酒樽の上蓋)
に沿って切り、上部のくちかがり縄を
取り外します。

● 上部に飛び出た菰は、酒樽と
くるんでいる菰の間に巻き込んで、
鏡と高さをそろえます。

その際、上当て紙をのけた後、ササラ
で鏡や溝のゴミを取り除き、タオルで
鏡の上を丁寧に拭いておきましょう。

※ おめでたい席なので、できる限り
“切る”という作業を行わず、
取り外す、巻き込むなどに務めます。

● 二番輪
(樽を締めている二番目の箍(たが)
)に、しめ木を当て木槌で叩いて、
全体に2㎝ほど下げます。

● 一番輪
(樽を締めている上部の箍(たが))
に、しめ木を当て木槌で叩いて、
鏡部の締め付けを緩めておきます。

…と、準備はここまで。

あとは本番開始を待つばかりです。

 

鏡開きの作法と口上。

 

鏡開き本番です。

鏡開きの演出には、シーンに応じた
いくつかの作法があります。

まずは
「セレモニーとしての鏡開き」。

これは結婚式などでよく目にする
方法で、現在の主流がこの演出です。

鏡開きの準備が整った後、
さらに鏡板を先に外しておき、
それを樽の上に乗せておきます。

本番になり、新郎新婦お二人で1本の
木槌を持って軽く叩いて開くことで、
ケーキカットのような
おめでたい演出になります。

また、木槌や金ベラに紅白のリボン
を結びつけることで、より一層、
手元の華やかな演出も可能に。

鏡が開いたら、
ハッピを着込んだサポート
スタッフがお手伝いをします。

みなさんがもっとも多くイメージ
する鏡開きは、木槌を振り下ろす
「豪快な鏡開き」でしょう。

豪快な鏡開きを行う際は、
事前に鏡板が盛り上がって来るまで、
木目に沿って前後左右を
木槌で叩いておきます。

これは鏡が半分割れた状態にして
おき、本番、軽い力で豪快に
酒しぶきが上がるようにするため。

鏡を開く人数は1人から
4人程度が最適です。

あまり多くの人数だと壇上が
混み合い、樽を囲むことで、
他のお客様にお尻を向けてしまう
ことになってしまうからです。

この方法は、お酒がこぼれるため、
事前に必ず、主催者や会場の
了解を得ておく必要もあります。

「おごそかな鏡開き」は、
鏡開きをする作業者が、
会場で鏡板を取り外し、
高く持ち上げて鏡開きが無事完了
したことをお知らせする方法です。

酒の中に木屑やゴミが入らないよう
に鏡板を上手く取り除き、高く持ち
上げて“おめでとうございます”と、
ひと声かけて本番終了です。

鏡開き後は、酒樽に浮かんだ木屑
などを網杓子で丁寧に取り除き、
宴会場をワゴンで回って、
樽酒を振る舞います。

お米から造られる日本酒は古来より
神聖なものとされ、神事を営む際に
神様に供えられ、祈願が済むと
参列者に振る舞う風習があり、
鏡開きは祈願の成就を願うと
レッキとした神事です。

また、鏡開きの前に唱える口上の
一例をご紹介しておきます。

東西東西(とざいとうざ〜い)、
只今より○○○様の○○○を祝し鏡開き
を行わせて頂きます。

そもそも、鏡開きの御(おん)儀式は
三百有余年の昔徳川四代将軍家綱が
戦(いくさ)に備え、諸大名一門郎党
を千代田の城に参集せしめ、先祖の
具足甲冑の御前(おんまえ)で、
お鏡を飾って出陣の舞を舞い
祝宴を致しました。

これが鏡開きの始まりでございます。

このめでたき御(おん)儀式を
本日の○○○に際し、とり行う事は
○○○様の門出を一層華やかにする
ものと存じます。

○○○様によりまして
首尾良く鏡が開きましたなら、
拍手喝采の程御願いたてまつります。

平成○○年○月○日
(新元号になったら、新しい元号に)

口上を唱える際は、
堂々と恥ずかしがらずに、
少々間違えても口ごもらず、
仰々しく大きな声で発声する
ことがポイントです。

華やいだ場の雰囲気づくりに
もってこいの鏡開き。

おひとついかがですか。

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