110年ぶりとなる尊富士の初入幕優勝。相撲人気再燃の起爆剤に。

“荒れる春場所”で優勝を競った尊富士と大の里。生涯のライバルに成り得るか。

1991年(平成3年)、
バブル崩壊直後の暗く沈んだ世の中を
明るく照らした“若貴ブーム”。

そこから数年、
若乃花、貴乃花だけでなく、
そのライバルともいえる曙、
武蔵丸など、タレント性の高い
特徴のある力士がしのぎを削り、
空前の大相撲ブームになりました。

その時と同じく、大相撲人気の再燃を
期待できそうなニュースが
飛び込んできました。

2024年(令和6年)春場所
(三月場所/大阪場所)で、
尊富士(たけるふじ)が、
1914年(大正3年)夏場所の両国以来、
実に110年ぶりとなる
新入幕力士の優勝です。

併せて、初土俵から10場所目での制覇は
史上最速で、幕内番付が一番下の
前頭17枚目の“幕尻”からの優勝も
史上4人目という記録ずくめの
春場所となりました。

まさに“荒れる春場所”そのものです。

春場所千秋楽、直接対決はないものの
“短いちょんまげ”の尊富士を追うのは、
“ザンバラ髪”の大の里。

土俵に上がる力士は
大抵大銀杏を結っていますが、
大の里も入幕2場所で
2人ともまげが結えないほどの
異例の早い出世。

尊富士は前日の取り組みで
足首の靭帯損傷で翌日の出場が
危ぶまれましたが、
いたみを押しての出場で、対戦相手を
見事押し倒して自力で賜杯を手に。

30年前に経験した、
ワクワクするような大相撲ブームが
起こりそうな気がしてなりません。

大相撲中継の場内を映し出す
引きの映像の時に、宙に浮いた
屋根が目に入ります。

“屋形”と呼ばれ、そこから
垂れ下がっているのが“水引幕”です。

紫の布に相撲協会の
“桜”の紋が染め抜かれていますが、
この紋を“梅”と解釈する方も
少なくありません。

というのも、相撲の祖である
“野見宿禰(のみのすくね)”が
用いていたのが“梅鉢紋”だから
という理由から。

しかし、5つの花びらの先端に
切り込みがある図柄は、
やはり“桜”そのもの。

とはいえ、“梅”と見立てる感性は、
相撲ファンだからこその深い浪漫や
風流さを感じさせてくれます。

野見宿禰神社やその子孫である
菅原道真を祀る全国の天満宮では、
現在も“梅鉢紋”を社紋としています。

野見宿禰は、日本書紀に登場する
古墳時代の出雲出身の豪族で、
垂仁天皇(すいにんてんのう)の
命により御前にて、
大和の当麻蹴速(たいまのけはや)と
「捔力(すまひ)」という
格闘技にて対峙。

互いに蹴りあった末、野見宿禰が
当麻蹴速の腰を踏み折って勝ち、
大和国当麻の地を与えられたと
日本書紀に記されています。

後世になり、野見宿禰だけでなく
当麻蹴速も一緒に、相撲の神様として
祀られているということです。

長い歴史を持つ相撲の、
新しい芽生えを感じさせてくれた
今年の春場所。

次の夏場所(五月場所)には、
さらに成長した勇姿に
期待できそうです。

野見宿禰の“梅”にあやかって、
菊正宗のあらごし梅の
みずみずしい味わいの
「にごり梅冷酒」や
希少な古城梅(ごじろうめ)を
漬け込んだ「古城梅酒 原酒」を
冷やして、熱くなりそうな夏場所を
クールに観戦してみるのも
面白い楽しみ方です。

春しか飲めない限定酒「にごり梅冷酒720mL」。