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“はっけよい”ではなく、“はっきよい”。行司が発するタイミングも異なります
大相撲の取り組みにおいて、
行司が発するのは掛け声は
“はっけよい”ではなく
“はっきよい”です。
相撲協会はこの言葉の語源として、
「気を高めて全力で挑め」という意味の
「発気揚々(はっきようよう)」
との公式見解を示しています。
この言葉には諸説あり、
勝負を促す意味の
“ハヤキホヘ(早く競え)”
という言葉が変化して
“はっきよい”になった説や、
易学の“八卦が良い”という
験担ぎの意味があるという説、
また、“ハッケ”は“投げつけよ”、
“ヨイ”は“やっつけろ”、
“ノコッタ”は“やったぞ”
という意味を持つヘブライ語起源説
などがありますが、
どれも起源としてそれらしく
聞こえるから不思議です。
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一般の多くの人が頭に思う立ち合いは、
“はっけよい”で
拳を握った腕を下ろして
お互いが見合い、“のこった”の合図で
立ち会うというタイミングです。
実際の大相撲では、
行司は取り組み開始の
合図を出しません。
力士双方の呼吸が合うまで
何度か仕切り直し、
制限時間いっぱいになったところで、
行司の“待ったなし”
“見合うて”などの声が掛けられ、
あとは両力士の呼吸次第です。
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“待ったなし”の声が掛かれば
必ず立ち会わなければなりません。
立ち合いが成立し、
両力士が四つに組んで動かないときに
掛けるのが“はっきよい”で、
両者が動いているときに掛ける言葉が
“のこった”となります。
ここで“制限時間は
誰がどのタイミングで計測しているのか”
という疑問が残ります。
時間を計っているのは
審判委員の時計係です。
力士の名前を呼び終わったときから
計測を開始し、時間が来ると
手を上げて合図。
それを見た土俵下の呼び出しが
“時間です”と力士に伝え、
行司からも制限時間いっぱいが
告げられます。
ちなみに、力士が立ち会うまでの
制限時間は、幕内は4分以内、
十両は3分以内、幕下以下は2分以内と
決められています。
また、時間いっぱい後の力士からの
“待った”は反則行為とみなされ、
制裁金が課せられる対象に。
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テレビに映し出された両力士の
名前の背景では、土俵での作法を
見て取ることができます。
最初に目にするのは
“塵手水(ちりちょうず)”という
昔を今につなぐ礼法です。
手に何も隠し持っていないことを
示すために、膝を開いて
背筋を伸ばす蹲踞(そんきょ)の
姿勢で手を前におろし、
揉み手をしてから拍手(かしわで)を打ち
手を大きく開いた後、
手のひらを返す動作で、
腰を据えた佇まいには
様式美すら感じるほど。
その後、四股を踏んで清めの塩の前へ。
ここでは、前の取り組みの
勝ち力士から柄杓に入った力水で
口をすすいで身を清めます。
続いて、四股を踏んだ後、
清めの塩を撒いて土俵を清めます。
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そして、仕切り線の前に進み、
蹲踞の姿勢から、相手と目を合わせて
両手をつくのを何度か繰り返して
制限時間いっぱいで立ち合いです。
これらの作法も含めて4分という
制限時間内に立ち会うのです。
これら一連の動作は、
相撲が神事であることを
改めて感じ得る瞬間ともいえます。