帰省もままならない2021年の「お盆」。気持ちだけでもご先祖供養を。

「新盆」「月遅れ盆」「旧盆」。それぞれお盆を迎える時期が異なります。

まもなく、お盆です。

お盆の期間は、全国的に
8月13日(金)から16日(月)の
4日間。

毎年、13日に
ご先祖様の御霊を
“迎え火(盆の入り)”で迎え、
14日、15日は
ご霊膳などをお供えして供養し、
16日の午後に
“送り火(盆明け)”で
送り出すという、
毎年、決まった日付の行事です。

お盆休みの4日間と
土日祝日が組み合わさり、
さらに有給休暇なども組み入れた
“今夏の長い夏休みの取り方”特集が
テレビの情報番組等で流れるのも、
夏の風物詩のひとつとなっています。

ちなみに、今年は、
10日(火)から12日(木)の
3日間の有給休暇をとれば、
10連休となります。

さて、昔から伝わる、
もともとのお盆は、
旧暦の7月15日を中心に
行われていた長い歴史があります。

旧暦から新暦に切り替わったのは
1872年(明治5年)のことで、
1872年(明治5年)12月2日の翌日が、
1873年(明治6年)の1月1日になり、
改暦後、12月が丸々なくなりました。

そこで、旧暦で行われた多くの行事を
新暦の30日遅れで行うことで、
実質的にはそれまでと同じ
季節のタイミングで行うことに。

その流れで、全国的に、
“お盆は新暦8月15日”
というのが定着していきました。

また、7月は農村部の
農繁期にあたるため、
1カ月遅れのお盆が受け入れられた
という説もあります。

新暦になって、それまで通り
7月15日の「7月盆」が根付いたのは
東京を中心とした首都圏です。

これは明治政府の
お膝元であったことと、
全国でもっとも早く
都市化が行われた地域
だったからのようです。

東京以外にも、
横浜、静岡、函館、金沢の一部地域が
7月にお盆を迎えます。

この「7月盆」を
“東京盆”“新盆”と呼ぶのに対して、
全国的に定着した「8月盆」を
“月遅れ盆”と呼びます。

また、旧暦7月15日に
お盆を迎えるのが、沖縄、奄美地方。

こちらは“旧盆”と呼ばれ、
旧暦によってお盆を迎えるため、
毎年、お盆の日は異なります。

今年は8月20日(金)から
8月22日(日)の3日間
(地域によっては4日間)で、
来年は8月10日(水)から
8月12日(金)、
4年後の2025年は、
9月4日(木)から9月6日(土)と、
お盆の日は8月中旬から9月初旬と
振れ幅は大きく、必ずしも
休日になる訳ではありません。

こうした背景のもと、
日本各地でお盆に行われる
行事や風習も
地域によって異なり、
花火大会や夏祭りなどが
一緒に開催されることも
少なくありません。

例えば、
「7月盆(新盆)」の地域では
七夕祭りと一緒に
行われところがあり、
大きな祭事と結びついた
「8月盆(月遅れ盆)」の
地域としては、
8月16日に行われる京都の
“五山の送り火(大文字焼き)”
などが有名です。

日本の「お盆」は仏教の伝播によってもたらされ、独自の進化を遂げて行きました。

日本へのお盆の伝播については
諸説ありますが、
インドで発祥した“仏教”に、
中国の先祖供養の意味合いを持つ
“中元節”が組み合わせさった
「盂蘭盆会(うらぼんえ)」
として伝わった説が有力です。

「盂蘭盆」は
サンスクリット語の
“ウッランバナ”の音写語
(仏典を翻訳する際に漢文に訳さず、
梵語の音をそのまま
漢字に写した技法)
という説があります。

ちなみに、
仏教が日本に伝わったのは
538年(宣化天皇3年)のこと。

さて、「盂蘭盆」に関する記述は、
後に編纂された「日本書紀」に
いくつか記されています。

606年(推古天皇14年)に
“是年より初めて寺毎に、
四月の八日、七月十五日に設斎す”
と記述されており、それによって、
4月8日にお釈迦様の誕生を祝う
灌仏会(かんぶつえ)、
7月15日は「盂蘭盆会」の始まり
と読み取れます。

657年(斉明天皇3年)での記述には、
“群臣に詔して京内の諸寺に
盂蘭盆経を勧請(とか)しめて、
七世の父母に報いしむ”と。

ここにある
“七世の父母に報いしむ”とは、
兄弟姉妹は入れずに
直系だけを7世代遡ると、その間に
かなり多くの血縁者が命を紡いで、
現在の自分の存在があるので、
その所縁あるご祖先様の霊に
慈しみの心で供養をする
という意味を含みます。

奈良時代になり、
773年(天平5年)の
聖武天皇時代には、
“天平五年七月十五日、
初めて大膳職をして
盂蘭盆の供養を修せしむ”
と記され、訳すると
“盂蘭盆会の供物調達にあたっては、
できるだけ良いものをと、
初めて宮廷の
食膳担当の大膳職に行わせた”
とあります。

日本の「お盆」は、
仏教とともに日本に伝わった
「盂蘭盆会」が、
日本の風習や信仰と結びついて
独自の進化を遂げてきたことが
「日本書紀」の記述から
読み取ることができます。

今年の「お盆」は昨年に引き続いて
新型コロナ禍にあるため、
感染拡大を防止する意味もあって
帰省もままならない状態です。

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心尽くしの供養に
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