自然の佇まいが心を癒してくれる「渓流釣り」。野趣に溢れる“骨酒”も。

新型コロナ禍で、密を避けた“釣り”ブーム再燃の兆し。

ただ今、アウトドアが
ちょっとしたブーム。

新型コロナ禍で、人の集まる
有名アミューズメント施設からの
一時的な回避と考える人も
多いようで、密を避けた
郊外のアウトドアレジャーに
人気が集まっています。

とはいえ、
情報番組や雑誌の特集などの
メディアでいち早く新しい
レジャーブームが紹介されると、
そこに人が集まって
密状態になる懸念も。

これも、世の常なのでしょうか。

このアウトドアブーム、
実は、新型コロナ騒動の前から
始まっていました。

ソロキャンプやグランピング
(宿泊施設のある
リゾート感のあるキャンプ)、
屋外バーベキューを始め、
アクティブな女性たちが
楽しさを見つけ出した
山ガール(女性の山歩き)、
海ガール(女性のマリンスポーツ)、
そして釣りガール。

これらのアウトドアブームの
後押しをしているのは、
少なからずSNS映えを意識した
ファッションやアイテムによる
オシャレさのアピールが
あってのことともいえます。

そんな一過性の理由で
あったとしても、
新しい世代に受け入れられ、
その趣味人口の裾野を
大きく広げるという意味では
喜ばしいこと。

こうした趣味嗜好の
分散によってメジャーな
アミューズメントスポットに
人が集中するのを避け、
人で賑わう繁華街への
外出を控える自粛期間でも、
少ない人数で数少ない自由な機会を
楽しめているのかも知れません。

さて今回、
スポットを当てるのは“釣り”。

この新型コロナ禍では、
ファミリー層に人気の
“サビキ釣り”が好評とのこと。

波止場や突堤で、仕掛けの下に、
重りのついたコマセカゴに
オキアミなどの寄せエサを詰めて
沈めるだけの簡単な、
子供でも楽しめる“海釣り”です。

魚群の回遊に当たれば、
一度に数匹の釣果が期待できる、
いわゆる入れ食い状態に。

一方、若い層に受けているのは
“バスフィッシング”。

ルアー(疑似餌)を、
まるで生きているかのような
動きをさせることで、
バスを釣る、やや高度な
“淡水池釣り”です。

この他にも、
“釣り堀”や“海釣り公園”など、
意外と身近な所にも
フィッシングスポットはあります。

“釣り”というと
高い道具を揃えて、
専門知識がないとできない
と思ってる方もいますが、
意外と間口の広い趣味です。

安いセットを買って、
この道数十年の玄人はだしの人と
並んで釣り糸を垂れている時に、
ビギナーの方に釣果がある
というのもよく聞くお話。

安い道具からスタートして、
徐々に道具を揃えていくのも
楽しみのひとつで、
やがて“釣り”の魅力に
はまっていくというのが、
この趣味の醍醐味
ともいえるのではないでしょうか。

意外と、初心者でも楽しめる「渓流釣り」。

さて、“釣り”の中でも、
難しいと敬遠されがちなのが
河川上流域での「渓流釣り」です。

イワナやヤマメ、アマゴなど、
人の気配を察知する
警戒心が強いとされ、また専用の
釣竿と毛針(疑似餌)を使った
高度な“フライフィッシング”を
イメージしがちですが、
“餌釣り”ならば、
初心者にも比較的容易に
楽しめるようです。

河川の下流域でフナやコイなどの
個体生息数が多い魚については、
一部地域を除いて“釣り”の
期間は設けられていません。

しかし、
上流域での「渓流釣り」は、
産卵期を保護するための
禁漁期間が設けられており、
全国的に3月から9月までが解禁期間。

早いところでは12月頃には
解禁されています。

また、人工池や川の一部を
囲いや石などで堰き止めた
“管理釣り場”では禁漁期間がなく、
一定数の魚を放流しているため
初心者でも釣果が望める
手軽さが人気です。

近接してキャンプや
バーベキュー施設があるところもあり、
ファミリー層の利用も多いとか。

まずは手軽な“管理釣り場”で
「渓流釣り」の楽しさを知り、
自然の河川上流域で“餌釣り”、
疑似餌の“ルアーフィッシング”
を経て、ちょっと高度な
“フライフィッシング”へと
趣味の幅を広げてみては
いかがでしょうか。

釣ったイワナやヤマメ、
アマゴなどは、多くの
“管理釣り場”に併設されている
バーベキュースペースで
豪快に塩焼きで。

少し小ぶりなイワナは、
野趣に溢れた
“骨酒(こつざけ)”が
オススメです。

下処理をしたイワナを
水分が飛んで
カラカラになるまで焼きます。

塩は振らずに
コゲ過ぎないように時間をかけて
遠火で焼くのがポイントです。

焼きあがった魚は、
全体が浸るくらいの
熱々の燗酒に入れて、
あとは塩焼きを肴に
ぐいっと一杯やるだけ。

また、身を食べきった骨を
もう一度焼いて燗酒に入れて飲むと、
より一層芳ばしさが広がり、
普段飲む燗酒とはひときわ違った
美味しさを楽しめます。

「渓流釣り」の醍醐味は、
“海釣り”の開放感とは少し異なる
非日常的な体験にあります。

木立ちにこだまする
鳥の鳴き声や草木の香り、
喧騒のない自然など、疲れた心を
癒してくれるに違いありません。