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ホタテは、日本人にもっとも食べられている貝で、その“旬”は年2回。
間もなくホタテが美味しい季節です。
早いものは桜が咲き始める頃から
出始め、ゴールデンウイーク辺りから
夏に向けて最初の“旬”を迎えます。
夏のホタテは貝柱がどんどん太く育ち、
カラダ全体を大きく
成長させる時期です。
この時期のホタテは甘みが強く、
刺身でいただくのに最適。
また、肉厚の貝柱は、
その美味しさをたらふく堪能できる
バター醤油焼きがおすすめです。
辛口の冷酒の肴としてベストマッチ。
またこれ以降、日増しに、
春の陽気に包まれる日が多くなるので、
バーベキューのときにも、
ぜひ持っていきたい
食材のひとつに数えられます。
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二度目のホタテの“旬”は、
産卵時期である春に向けて
卵を大きく育てている
12月から3月頃の冬のホタテです。
この時期のホタテは旨味成分を
多く含んだ強い出汁が特徴で、
汁物や煮物など、
コクのある料理に最適。
海鮮鍋などの
人気の食材のひとつといえます。
さまざまな貝類の年間生産量をくらべ
ると、圧倒的な生産量を誇るのが
ホタテです。
2020年(令和2年)の全国生産量は
約49.7万トン(この数値は天然の
“漁獲量”と養殖の“収穫量”を
足したもの)で、その約82%の
約40.9万トンを占めるのが北海道産。
天然ホタテに限ると
年間漁獲量約34.6万トンのうち、
ほぼ100%に近い約34.54万トンもの
シェアを持つのも北海道産です。
一方、養殖ホタテの市場規模は
15.1万トンで、その第1位は青森県産で
約54%の8.2万トン、続く北海道産は
約42%の6.39万トンとなり、
この2県で約96%を占めています。
ホタテに続く生産量が多い貝類は
カキで、市場に出回るほとんどが
養殖物。
その年間収穫量は約16万トン。
第3位はシジミ約9500トン、
第4位はアサリで約8000トンと
天然物の貝類が続きます。
生産量で判断する限り、
私たち日本人の胃袋にもっとも多く
収まっているのは
ホタテということになります。
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ここで注目したいのは、
魚介類全般における養殖が天然の
代用ではないということ。
はるか昔、高価な天然物に
手が出ないので、養殖物で我慢する
という時代もありました。
しかし、現在は魚介の生態研究が
科学的に行われ、適切な生育環境を
維持しつつ、安定した栄養価の高い
餌を供給する成果として、
養殖が天然を超えて、ブランド化
している実例も数多くあります。
市場出荷されるウナギのほとんどが
養殖であることや養殖マグロも
高級魚としての市民権を得ている、
養殖フグの方が美味しい
という話もよく耳にします。
実際に、世界の漁業生産量の
半分以上を占めているのが
養殖ものなのです。
市場に出回ってるホタテは
養殖物が多く、天然物とくらべても、
その味や食感、栄養の違いは
ほとんどありません。
とりわけ、日本の養殖ホタテは、
世界的な評価が高く、トップクラスの
養殖物といっても過言ではありません。
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ホタテやカキの貝殻を再利用した新しい取り組みがスタートしています。
さて現在、
SDGs(持続可能な開発目標)や
ゼロカーボン社会の実現など、
環境への配慮や負荷を減らす
さまざまな取り組みが
世界的に行われています。
使い捨てプラスチックゴミによる
海洋汚染対策もそのひとつで、
レジ袋の有料化を皮切りに、
プラスチック容器や包装材を木などの
代替素材へと切り替える動きが
広がってることはみなさん
ご存知の通りです。
こうした背景のもと、これまで
ゴミとして処分されていたホタテや
カキなどの貝殻が再生利用資源として
見直されていることは、
あまり知られていません。
現在、自然分解が可能な
生物由来のバイオプラスチックの
原料として植物が使われていますが、
新たに貝殻を原料として
運用する動きが。
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とくに海に生息する貝殻の再利用という
視点は海洋汚染対策に一役買いそうな
イメージがあります。
貝殻を原料にした
バイオプラスチック製の割り箸や
食器をはじめ、
焼いた貝殻をパウダー状に砕いて
水に溶かしたアルカリ性の抗菌剤や
ボルダリング競技の滑り止め、
黒板に字を書くカラーチョーク、
貝殻原料のヘルメット、貝殻を砂状に
粉砕してコンクリート用細骨材として
活用したシェルコンクリートを使った
港湾構造物や波消ブロック、貝殻の
水酸化カルシウムの作用を利用し、
腐敗菌の繁殖を抑制するフィルムによる
野菜などの鮮度保持袋、貝殻由来の
土壌改良剤を田んぼに利用して
米をつくり、さらに日本酒を造った
というプロジェクトもあります。
ホタテの身を美味しくいただき、
その貝殻を再利用したり、
自然に戻すことで成立する循環型の
社会の実現は、私たちが目指すべき
理想的な未来の形なのかもしれません。