「蛍の光」「仰げば尊し」の原曲は、海外にルーツがあります。

邦楽の魅力は、メロディーラインの美しさと歌詞に込められた深い意味。

“歌は世につれ、世は歌につれ”。

昭和の時代、
歌謡番組で名物司会者が口にする
番組冒頭のフレーズです。

昭和は、歌謡曲花盛りの時代で、
テレビのゴールデンの時間帯には、
各局それぞれの特徴ある歌謡番組が
数多くありました。

アメリカの有名な
ヘビーメタルバンド「メガデス」の
リードギターとして活躍した
マーティ・フリードマンは
大の歌謡曲好き。

彼はワールドツアーの日本公演で
日本の音楽に触れ、
メロディーラインの美しさや
複雑な音の構成アレンジ、
歌詞に込められた深い意味、
そしてラテンやサンバなど
世界中のリズムによる曲が
邦楽として成立していることに
大きな衝撃を受けました。

邦楽に魅せられた彼は、
今では日本に移住して、
日本語もペラペラ。

世界市場では
やや出遅れた感のあるJ-POPも、
彼にいわせると
かなり複雑な曲構成や曲進行に加え、
より魅力的に歌う
アーティストの存在は大きく、
純粋に評価されるのなら、
その完成度は
世界でも群を抜くとのことです。

そんな邦楽のジャンルで、
今の時期によく聞こえてくるのが
“卒業ソング”。

卒業式を中心に、
“春の別れ”を表現した歌が
数多くあります。

卒業式で歌われた
昭和の定番曲といえば、
「蛍の光」と「仰げば尊し」。

「蛍の光」は、
スコットランド民謡の
「オールド・ラング・サイン
(Auld Lang Syne)」が原曲で、
和訳だと“古き昔”。

2020年(令和2年)の
英国のEU脱退に際し、
欧州議会が
離脱協定案を可決した時に、
議員たちが総立ちで
この歌を大合唱したことでも
有名な曲です。

もうひとつの「仰げば尊し」が
学校唱歌として発表されたのは
1884年(明治17年)。

それ以来ずっと
作曲者不詳のまま
歌い継がれてきましたが、
2011年(平成23年)に、
研究者によって
アメリカの原曲
「Song for the Close of School」が
発見されました。

昭和を代表する定番の2曲とも、
海外にルーツを持つことに
驚きを隠せません。

残念ながら、平成以降、
古い日本語表現が難しく
意味が理解されにくい、
恩師への感謝を強要している
などの理由で、
これらの曲は
あまり歌われなくなりました。

そして現在、
卒業式に何を歌うかは
学校ごとで自由に選び、
なかには生徒が選ぶこともあり、
J-POPなどからも選ばれる
卒業式の歌もあるとか。

よく歌われているのは、
1991年(平成3年)に
荒れた学校を歌で更生しようと
教員がつくった合唱曲
「旅立ちの日に」。

しばらくはそこの中学校だけで
歌われていたものが
近隣の学校に広まり、
1998年(平成10年)頃には
全国で歌われるようになりました。

似たタイトルの
「旅立ちの日に…(川嶋あい)」
をはじめ、
「ありがとう(いきものがかり)」
「手紙〜拝啓 十五の君へ〜
(アンジェラ・アキ)」
「友〜旅立ちの時〜(ゆず)」
「桜ノ雨(初音ミク)」
「3月9日(レミオロメン)」
「栄光の架橋(ゆず)」などを
混声合唱曲に編曲。

学校生活の情景に
心情や熱い想いを寄り添わせる歌詞に、
生徒一人ひとりが心を投影することが、
より深い感動を生み出します。

まさに
“歌は世につれ、世は歌につれ”
なのかも知れません。