移ろう季節に寄り添う、新しい“食欲の秋”。

今の時代に見つける、美味しい“食欲の秋”の楽しみ方。

秋が短くなった…そんな声を、ここ数年でよく耳にするようになりました。地球温暖化の影響なのか残暑が長引き、ようやく涼しさを感じたかと思えば、あっという間に冬が訪れます。短い期間の“食欲の秋”の行方が気になるところです。秋の味覚といえば、サンマ、戻りガツオ、サツマイモ、カボチャ、キノコ類など、いずれも自然のリズムで育まれた旬の代表格です。しかし、気候が不順の昨今、その“旬”のリズムは少しずつずれてきています。サンマは海水温の上昇で北の海域へと移動し、漁獲量も減少気味。戻りガツオも黒潮の流れの変化で回遊ルートが変わり、かつての秋の味覚とは言い難い状況が続いています。秋の野菜も、猛暑による日照りや雨不足が影響し、サツマイモやカボチャの出来にも地域差があるようです。

その一方で、季節の味を大きく支えているのが、栽培技術の向上や養殖技術の進歩に他なりません。ハウス栽培や環境制御型農業では、温度・湿度・光量を細かく管理し、ほぼ一年中、安定した品質で野菜や果実を生産することが可能になりました。漁業でも、完全養殖の技術が向上し、天然の品質に近い魚介が流通しています。つまり、“旬”はもはや自然だけに頼る時代ではなく、人の知恵と工夫が生み出した季節の味覚へと広がっているのです。

では、そんな気候変動の時代に“食欲の秋”をどう楽しめばよいのでしょうか。気候変動で秋が短くなり、“体が秋を感じる前に冬が来る”ような今の時代では、少し意識的に秋を感じる工夫が必要になってきます。季節のスタイルが崩れている今は、市場に出回る最初の味を意識的に味わうことがポイントです。その短い期間の味わい方を大切にすることで、暦ではなく五感で季節を感じ取る楽しみが生まれます。そのヒントとなるのは市場に出回る秋の食材を意識的に楽しむこと。スーパーで“秋の味覚フェア”というポップを見かけたら、それが季節の変わり目の合図。迷わずその旬を味わってみましょう。

脂の乗ったサンマを大根おろしで一緒にいただくいつもの塩焼きで。脂の乗りが控えめなものはニンニクや生姜、酢を効かせたさっぱりとした香味焼きや、三枚に下ろして梅肉や大葉を巻き込んだフライもおすすめです。戻りガツオはサラダ仕立てにしてオリーブオイルとポン酢で和えた和風カルパッチョでひと工夫。野菜なら、しめじやまいたけ、エリンギなどのキノコ類まとめてバター醤油でソテーすると、香ばしく秋の香りが広がります。オリーブオイルとニンニクで炒めた洋風きのこマリネもおすすめです。普段の食卓では地元産の食材や保存性の高い旬菜を取り入れることで、無理なく“食欲の秋”を感じることができます。自然と人の知恵が重なり合い、私たちは新しい“旬”を作り出していくことができるのです。

今年の秋も、目の前の食材と向き合いながら、今この瞬間だけの味わいを楽しみたいものです。そんな秋の味覚を引き立てるのは、やはり美味しい辛口の日本酒。季節の香りとともに、短い秋をゆっくり味わいたいものですね。

「菊正宗 上撰 1.8L」
「旨いものをみると辛口のキクマサが欲しくなる。」
スッキリと雑味がなく、しっかりとした押し味とキレのあるのど越しが特徴の、料理の味が引き立つ本流辛口酒です。

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